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ニュース2000-09-17

2000年9月17日抄訳分

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 ケンタウルス族の明るい点はクレーターによる新鮮な氷?

ケンタウルス族とは小惑星の種類。HST を使って土星と天王星の間に位置するサイズ80kmの小惑星8405アズボラス(Asbolus )を観測していたところ、片側に一千万年以内にできた新鮮なクレーターがあることを見つけた。HST は直接クレーターを見たわけではないが、近赤外カメラで表面の化学組成を測定し複雑な化合物があることを示した。

元の情報源はHST 。想像図とアニメーションあり。

 探査機ガリレオが明らかにした木星の風の謎

木星の赤道付近には驚くほど透明度が高く(原文ではclear)乾燥した領域(『ホットスポット』と呼ばれていたらしい)があるそうで、その理由が探査機ガリレオが収集したデータに基づいたコンピュータ・シミュレーションによって、圧力差と水蒸気やアンモニアの蒸気が雲のすきまをどのように作るか示されたそうです。

もしここに気球で降下することができたとすれば、100km以上降りることになるそうです。この話題は雑誌Science(日本で発売されている日経サイエンスの元とは別)に掲載されたそうです。赤道付近では東西方向に風の向きが変わるだけではなく、上下方向にもいろいろと風が吹くようで、下向の風が吹いている間はこのようなところになるそうです。実際の温度はそう高くないので、『ホット』がついていない別の名前の方が良いかもしれないともコメントしてありました。

このスポットのサイズは、北アメリカ程度で、数ヵ月程度継続するそうです。また圧力差が大きくないと強い透明度の場所はできないとの計算結果も出ているそうです。また地球上でもスケールの違いこそあれ、同じようなものがあるとのことです。

元の情報源はNASA

 軌道エレベータの実現性

アーサーC クラークのSFで有名になっている軌道エレベータのアイディアがいくらか現実味を帯びてきた。ケーブルの片方を地球に固定して、もう片方を宇宙に固定するというのは理論的には物を宇宙に運ぶときに最も安上がりな方法である。

NASA/ マーシャル高等プロジェクトセンターのデビッド・スミサーマン(David Smitherman)が昨年出した「軌道エレベーター:新世紀の地球ー宇宙間のインフラ(Space Elevators: An Advanced Earth-Space Infrastructure for the New Millennium)」という本は昨年のNASAでのワークショップに基づいていて、そこでは技術的なことも含めていろいろなことが検討された。

軌道エレベーターは要するに地球と静止軌道(高度35,786km)上の物との間をつなぐ長いケーブルがあれば良い。ケーブルが地上に落ちてしまわないためには、静止軌道の向こうにバランスを取るためのかなり大きなおもりが必要で、おそらくは小惑星をこのために引っ張って来ることになる。地上のタワーはかなり高いものになるので、台風のない赤道上に作るのが良い。

実はクラークのはるか前にツィオルコフスキーも軌道エレベータのアイディアを出していたそうな。

実現のための要点を5つ挙げている。

  • ケーブルとタワーのための高い強度の物質を開発すること。ただし、必要な強度を出すために必要なものが極端に大きくなってしまうと非現実的になってしまう。現在研究中の物質で、このような用途に使うことができるほどの強度を持っているものが実際にある。カーボンナノチューブなど。
  • そんな長い構造物を宇宙空間で展開して制御する技術。
  • 高いタワーを建築するための建築技術。
  • 高速な電磁的物質送出システムの開発。
  • 実際にこのような構造物を必要とするような状況。物質や人が大量に宇宙空間に行く必要性があること。

21世紀の終りごろにはこのような条件が満たされているのではないかと考えているとのこと。

元の情報源はNASA

 カナダ隕石:太陽系についての鍵

カナダ・ユーコンで最近発見された稀な種類の隕石がパデュー大学の専門家によって解析された。45の化合物が解析された結果、この隕石は太陽系誕生以来変化を受けていない物質を含んでいることが示唆された。この隕石は今年のはじめごろに巨大な火球として観測され、幸いなことに氷結した湖に落下し、非常に保存状態が良い形ですぐに発見されたものである。

天文ニュースサイトより(リンク先のアーカイブをたどる必要あり)。

 IC 418:スパイログラフ(SPIROGRAPH)星雲

(spirographは手元の電子辞書では、呼吸器関係の動きを記録する装置とのことなのですが、日本でどのように読んでいるのかわからなかったのでカタカナにしておきました。)

IC 418はうさぎ座の方向、約2000光年の距離にある。撮影カメラはWFPC2。撮影は1999年2月と9月。

疑似カラー画像。赤は電離窒素からの光=星雲の中の最も冷たいガスによるもの。緑は水素からの光。青は電離酸素からの光=最も高温のガス:中心星に近い。

HST のおかげで、星雲中に細かい構造が見えているが、その起源ははっきりしていない。

惑星状星雲は太陽に似た星の一生の最後の方の姿。画像の中心に写っている星は数千年前には赤色巨星だったのだが、外側の物質を宇宙空間に放出して星雲を作り、現在半径約0.1 光年になっている。中心星から紫外線が出て星雲を光らせている。今後数千年で星雲は広がっていき、中心星も冷えていって数十億年でゆっくりと消えていく。

元の情報源はHST。(追記:その後元のコンテンツはなくってしまったようです。ただし画像はアーカイブに入っていると思います。)

 

 まもなく開いて蝶になろうとしている星の繭

NASA/ESA HSTによる観測で、原始惑星状星雲(惑星状星雲になる前)CRL 618 の細部がわかった。おそらくこの後、この繭のような星雲から蝶のような形の惑星状星雲になるものと思われる。

原始惑星状星雲は、赤色巨星の段階と惑星状星雲の段階をつなぐ一時的な状態。太陽のような星は、一生のほとんどを水素をヘリウムに変えて過ごす。しかし中心部の水素がなくなると、より進化の速い短い段階をいくつか過ごす。この段階ではサイズが大きくなり、明るくなり、温度の低い赤色巨星になって、低速の恒星風によって大量のガスとダストの放出をはじめる。やがて、星がそのほとんどの質量を失ったときに、再び温度が上昇し、明るくなり、放出された物質が光りはじめる。同時に、より高速の恒星風が吹きはじめ、覆い隠している繭を開いて、蝶のような惑星状星雲が誕生する。

CRL 618はそういった天体の一つ。このような原始惑星状星雲の段階は数百年から数千年間継続すると考えられている。これは天文学的にいえば非常に速い進化で、そのためこの段階の天体の観測例は少ない。また、人間にとっては長い時間はかかるが、進化のようすを直接観測することも可能。

HST の観測は、複雑なジェットのようなものを示している。以前の観測でジェットの速度は700,000km/h以上と観測されている。おそらく、ガスが不規則な間隔で吹き出してくるために衝撃波ができるためか、ジェットの中に環のような構造が見える。

また、赤道面には分厚くて光を通さない円盤があり、ダストが薄い極方向から光が出てきて、このような姿に見えると考えられる。

このような原始惑星状星雲の詳細な構造の観測は、惑星状星雲の起源と進化の理論の非常に良いテストになるだろう。

元の情報源はESA。(追記:その後元のコンテンツはなくってしまったようです。ただし画像はアーカイブに入っていると思います。)


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