すばるの次は、電波望遠鏡50台!! (LMSA)


すばる望遠鏡の完成まであとわずかとなり、どんな成果がもたらされるのか 楽しみですが、日本の天文学者達はもう、次の大型観測装置を考えはじめていま す。それは、口径が10メートルある高精度の電波望遠鏡を50台作ろうと いうものです。今のところ名前は、『大型ミリ波サブミリ波干渉計』で、英 訳の、Large Millimeter and Submillimeter Array の頭文字を取って、LMSA (エルエムエスエー)とも呼ばれています。

電波望遠鏡というと、光の望遠鏡とは違ってあまりなじみがないかもしれま せん。上のLMSAの完成予想図にあるように、おわん型のパラボラアンテナが たくさん並びます。でも、それが50台というのですから、驚きですよね。 国立天文台野辺山宇宙電波観測所の様子を見たことがある方ならイメージし やすいかと思いますが、45m鏡ではなくて、干渉計である10m のアンテナ、 あれがたくさんあるのを思い描いてみて下さい。 LMSAは設置場所を広くとって、ハッブル宇宙望遠鏡よりも良い 0.1から0.01 秒角まで見える超高分解能を目指しています。よく晴れて、乾燥していて、 望遠鏡をたくさん置けるような平らな大地が広がっていて…、などの条件を クリアした設置場所の有力な候補地は、チリ北部の地上5000メートルの高地、 アタカマ砂漠の中になりそうです。そう、すばる望遠鏡と同じで、また外国 に作るんです…。

また、ミリ波とサブミリ波、聞き慣れないかもしれません。波長が0.数ミリ になるサブミリ波は、天文学に残された地球大気の最後の窓と言われています。 そこからは、光の望遠鏡では見ることのできない電波天文学の得意とする、 宇宙のガスやちりからの放射を受けることができます。例えば、生まれる前 のガスやちりに取り囲まれた赤ちゃんの星や、そのまわりに作られようとし ている惑星が見えてくるでしょう。また、遠くの、つまり作られようとして いる銀河とその進化の様子などもわかってくると期待されています。

では、順調に進んでいつ頃できるのでしょうか? 今は日本の電波天文学者 を中心に多くの人が、電波望遠鏡や受信機から設置場所がどういうところか 調べることまで、着々と準備を進めています。また、アメリカやヨーロッパ のグループと協力してさらに台数を増やす(約100台) ことも計画しています。順調にいけば、LMSA は2008年頃にはできあがって、 宇宙のなぞにまたぐんと迫っていけるでしょう。

LMSAについては国立天文台野辺山宇宙電波観測所内のホームページにも、詳 しく書いてありますので、是非御覧下さい。 http://www.nro.nao.ac.jp/


尾林彩乃のページに戻る
obayashi@nhao.go.jp