活動銀河中心核とは

銀河の中には、その中心部から銀河全体に相当するくらいに輝いているものがあります。
その明るさは星の集まりでは、とうてい説明することができません。
このような中心領域(あるいは現象)を活動銀河中心核(Active Galactic Nuclei;AGN)と呼んでいます。

エネルギー源

星が明るく輝くためのエネルギー源は核融合反応です。
では、AGNのエネルギー源は何でしょう。
銀河中心に超巨大ブラックホール(太陽の100万倍から10億倍程度の質量)が存在していて、その周りに降着円盤と呼ばれるガスの円盤が取り巻いているという説が有力です。
このガス円盤は中心に近いほど早く回っていています。 そうすると外側と内側で摩擦が生じて熱くなり、明るく輝くのです。

摩擦熱でこれほど明るく輝けるのか疑問に思われるでしょうが、ブラックホールという強力な重力場のなせる技です。

AGNの二つのタイプと構造

AGNにはそのスペクトルによって大きく二つのタイプにわけられます。
1型:輝線に幅の広い成分が存在する。
2型:輝線に幅の広い成分が存在しない。
この二つのタイプは異なる現象を見ているのではなく、同じ現象を異なる視点から見ているために見た目が異なっているだけであると考えられています。
この考え方では、
超巨大ブラックホールとそれを取り囲む降着円盤
幅の広い輝線を放射しているブロードライン領域(Broad Line Region;BLR)
ドーナッツ状に分布した密度の高い宇宙塵(ダストトーラス)
幅の狭い輝線を放射するナローライン領域(Narrow Line Region;NLR)
の各要素が下の図のような位置関係にあると考えます。


1型はブロードライン領域を見ることができるけれども、2型ではダストトーラスに遮られて見ることができないというわけです。

AGNの種類

ANGにはその活動性によっていくつかのグループに分けられます。

セイファート銀河(Seyfert Galaxy)

有名なところではM77(NGC1068)やNGC4151があります。
上に挙げたセイファート銀河はそれぞれ2型、1型に分類され、地球から近いということもあって、よく研究されています。

クエーサー(quasar)

これは非常に明るいので現在見付かっている最遠の天体もこの種類のものです。
クエーサーは地球の近くの宇宙にはありません。AGN、あるいは銀河の進化を反映しているのでしょうか。

ライナー(LINER)

セイファート銀河やクエーサーに比べると低電離の輝線が強いのが特徴。
近くの銀河の1/3がこのグループに分類されるという研究結果があります。
いくつかのLINERにはAGNを含むようだという観測結果もありますが、LINER全部がAGNを含むかどうかは、まだ議論の余地があります。

ブレーザー(Blasar)

激しい明るさの変動があり、偏光しています。
そのスペクトルには輝線や吸収線がみられず(あったとしても強度は弱い)、 連続光が支配的です。
これは降着円盤の中心から垂直方向にジェットが吹き出していて、その進行方向から観測しているのだと考えられています。
こういう状況では、相対論的な効果によりジェットからの光(シンクロトロン放射)が普通よりも増幅されて、輝線は埋もれてしまって観測されなくなります。

電波銀河(radio galaxy)

文字どおり電波強度の強い銀河です。
M87が有名
可視光では楕円銀河に見えるが、電波で見ると銀河規模に広がるジェットが見えます。


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