●過去のコロキウム : 概要一覧 (2006年度〜2012年度)

最新情報

コロキウム一覧


第156回
  日時:2013年3月27日(水)17時00分から

第156回-1
『Research at IUCAA』
    Ranjan Gupta (IUCAA, India)

<概要>

 The talk will highlight astronomy research carried out by me at IUCAA. The topics will cover astronomical instruments for IGO, light scattering and dust related research and IUCAA's involvement in the TMT-India initiative.


第156回-2
『Polarimetry of some recent comets』
    Asoke K Sen (Assam University, India)

<概要>

Apart from ground based observations, comets have been studied recently by several in situ space missions. Results from these space missions together with ground based observations have significantly enriched our knowledge about the comets and in general, about the origin and evolution of our solar system. Such results along with the corresponding ground based observations on various comets like Hartley 2, Garradd etc. will be discussed.


第155回
 『短周期振動星を含むアルゴル系の化学組成』
    鳴沢真也(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2013年3月13日(水)17時00分から
<概要>

 アルゴル型連星系RZ CasとAS Eriは、その主星(A3 V)が振動星である。最近、食連星に振動星が続々と発見されており、δ Sct型もしくはアルゴル系特有亜種(oEA)に分類されている。ところが、RZ CasとAS Eriの振動周期約20分は、 δ Sctとしては短く、むしろ高速振動A型特異星(roAp)に近い。
 発表者らは、なゆた(MALLS)、すばる(HDS)などのデータに対して、SPTOOLを用いて、両星の組成解析を行なった。その結果、両星ともに金属がやや欠乏している(例えば、鉄の場合、[Fe/H]= - 0.6程度)ことを発見した。本コロキウムでは、主にAS Eriの解析を中心として発表し、金属欠乏と短周期振動の原因についても議論したい。


第154回
 『メインベルト小惑星11天体の中間赤外分光観測,および月面地球照の可視光偏光観測』
    高橋隼(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2013年1月30日(水)17時00分から
<概要>

 惑星の起源と普遍性を根本テーマとして、2件の観測的研究を行ったのでその結果を報告する。第1の研究は、メインベルト小惑星11天体の中間赤外分光観測である。小惑星は太陽系の惑星形成時の情報を保持していると考えられている。我々は、メインベルト小惑星11天体を3.8m英国赤外線望遠鏡および分光器Michelleを用いて観測し、波長8-13ミクロン のスペクトルを得た。解析の結果、11天体中Ceresにのみ放射帯を検出した。講演ではこの結果の解釈を述べる。
 第2の研究は、月面地球照の可視光偏光観測である。地球照は月の暗い面が地球の光によって照らされる現象のことである。地球照の観測は、遠方からの地球観測を模擬するものとして、太陽系外の地球類似惑星検出の事前試験としての役割を果たす。本研究では2種類の可視光偏光観測を行った。一方は、西はりま天文台60cm望遠鏡および同時偏光撮像分光装置による、単色(Vバンド)偏光観測である。陸が卓説する地球表面を起源とする地球照偏光度と海が卓越する面を起源とするそれを比較し、海のある系外惑星探査法としての偏光観測の可能性を議論した。もう一方は、岡山天体物理観測所188cm望遠鏡および偏光分光測光装置HBSを用いた、偏光分光観測である。観測で得られた偏光スペクトルの位相変化を分析し、地球大気に特徴的な偏光分光特性を抽出した。講演ではこれらの結果を述べ、議論を行う。


第153回
 『金属欠乏星の化学組成から探る元素の起源と化学進化』
    本田敏志(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年12月12日(水)17時00分から
<概要>

 宇宙に存在する様々な元素が、どのようにして作られ、進化してきたのかを明らかにすることは天文学での重要なテーマの一つである。 これまでの様々な研究によって、鉄までの元素はビッグバンや恒星内部での核融合反応によって作られ、それらが超新星爆発などによって宇宙空間にばらまかれることによって宇宙の化学進化が進んできたことが明らかになってきた。 そのため、恒星の大気に含まれる金属量が少ない星は、銀河系形成初期における元素合成を反映していると考えられる。 すばる望遠鏡と高分散分光器を使って、このような星の化学組成を調べ、未だにその起源が不明であるrプロセス元素合成について調べたのでその結果などを紹介する。


第152回
 『特異な二重周期セファイドV371Perについて』
    石田俊人(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年11月28日(水)17時00分から
<概要>

 古典的セファイド変光星は、最も信頼性の高い宇宙の距離の測定を可能とする天体として知られている。その一方で、 関連したいくつかの未解決問題も存在する。特に、同時に2つの周期で脈動している二重周期セファイドと呼ばれるグループに関連しては、未解決な部分が多い。 そのような中で、最近新たに見つかった二重周期セファイド V371 Perについて、観測的特徴、その後の化学組成の 観測の結果、および、脈動星の線形模型による計算の進行状況などについて紹介する。


第151回
 『地球類似惑星の普遍性研究に向けた、小惑星と地球照の観測』
    高橋隼(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年11月7日(水)17時00分から
<概要>

 地球類似惑星の普遍性研究に向けて、これまで行ってきた小惑星と地球照の観測について総括する。 第1に、11のメインベルト小惑星の中間赤外分光観測について報告する。 第2に、陸が卓越する地球表面を起源とする地球照偏光度と海が卓越する地球表面を起源とする地球照偏光度の比較について報告する。 第3に、地球照偏光スペクトルの位相変化について報告する。


第150回
 『高分散分光観測を用いた前主系列星の進化タイムスケールの解明』
    高木悠平(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年9月26日(水)17時00分から
<概要>

 前主系列星や、原始惑星系円盤、原始惑星の形成・進化を研究するには、 前主系列星の正確な年齢を求める必要がある。一般的に前主系列星の年齢 は、測光観測から求められた前主系列星の光度と有効温度と、進化モデル (e.g. Baraffe et al. 1998) と比較して決定する。しかし前主系列星の光度 は、距離・減光量・ベーリングの 3点に起因する不定性を含んでおり、こ れらの不定性を取り除くことは困難であるため、測光的手法から正確な年 齢を導くことは難しい。  本研究では、従来の年齢決定法に代わる新たな手法の確立に取り組んで いる。前主系列星は進化とともに重力収縮するため、表面重力を求める事 で年齢を決定できる。星の大気スペクトルに現れる吸収線の等価幅は、星 の表面重力・有効温度・金属量に依存しているため、高分散分光観測を行 いスペクトルが得られれば、表面重力を決めることができる。吸収線の等 価幅は距離・減光に依存しない上、近接する吸収線の等価幅比を用いれば ベーリングにも依らない量を得る事ができる。これまでの研究から、可視 IバンドのFeとNaの等価幅比で0.8太陽質量の前主系列星を(Takagi et al. 2010)、近赤外KバンドのScとNaの等価幅比で0.6太陽質量の前主系列星の 年齢をファクター 1.5で決定できる方法を確立できている。  この年齢決定方法を基に、おうし座分子雲のCTTS、Transitional Disk Object、WTTSの年齢を導出した。今回は、導出された年齢を測光的手法 で求められた年齢と比較し、おうし座分子雲中の前主系列星の進化タイム スケールについて議論する


第149回
 『可視・近赤外線でみる新星爆発の多様性』
    新井彰(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年7月18日(木)17時00分から
<概要>

 新星爆発について解説し、新星爆発にみられるいくつかの未解決問題を紹介します。 なゆた望遠鏡を用いて行える研究テーマをお話したいと思います。


第148回
 『前主系列連星GG Tauに付随する周連星円盤の近赤外線観測』
    伊藤洋一(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年6月20日(木)17時00分から
<概要>

  太陽系外惑星は普遍的に存在するが、その質量や軌道要素は多様性に 富んでいる。こうした多様性は、惑星の母体である原始惑星系円盤の個 性に起因するものかもしれない。そこで我々は、すばる望遠鏡を用いて 高空間分解能を有する近赤外線観測を行い、原始惑星系円盤の構造の多 様性について理解に努めている。ところで、主系列星の半数は連星であ り、前主系列星ではそのほとんどが連星系をなしているとも言われる。 従って、単独星のみならず連星が持つ原始惑星系円盤を探査することに よってはじめて、惑星形成の全貌を理解することができよう。  GG Tauは、おうし座分子雲に付随する前主系列連星である。 この系 は4つの星で構成され、2つずつが連星をなしている。そのうち、明るい 連星系 (GG Tau Aa/Ab) には近赤外線や電波で非常に明るい周連星円盤 があり、今までにも多くの観測的研究がなされてきた。我々は、すばる 望遠鏡の補償光学系と高コントラスト装置を用いて、 GG Tauの近赤外 線偏光観測を行った。 偏光2成分を同時に取得することにより、連星の ごく近傍まで星周構造を探査することができる。講演では観測の結果と その解釈について述べる。


第147回
 『超高感度CCD素子を用いたドリフトスキャン駆動による暗視全周監視カメラの開発』
    圓谷文明(兵庫県立大学 天文科学センター)

日時:2012年5月24日(木)17時00分から
<概要>

  CCD撮像素子は2次元に配置された画素の情報(露光による蓄積電荷) を縦転送と横転送して読み出し画像を構成させる。CCD撮像素子は「露 光→(縦横)転送→読み出し」という通常の駆動方式の他に、ドリフト スキャンと呼ばれる駆動方式で画像を取得することもできる。それは 「露光しながら縦転送→横転送→読み出し」というプロセスとなる。こ の露光中の縦転送と移動物体の速度を同期させると暗所でも移動物体を 捉えることができる。逆にカメラを方位方向に回転させ、流れる風景と 縦転送を同期させることで、暗所に強く全周画像を取得できる監視カメ ラを実現することができる。この方式を電子増倍CCD(SPD-CCD/EM -CCD)あるいは国産の赤外線CCDであるPtSi素子に適用することで、暗 視用途の全周監視カメラを開発する。


第146回
 『反射膜作成における蒸着法に対するスパッタリングの優位性』
    坂元 誠(西はりま天文台/兵庫県立大学客員研究員)

日時:2012年4月26日(木)14時00分から
<概要>

 現在、薄膜作成では蒸着法、スパッタ法の二つが主流として知られる。一方、国内での可視光天体望遠鏡の反射膜作成では殆どが蒸着により成膜されている。なゆた望遠鏡用のコーティング装置の検討目的で行ってきた実験により、スパッタ法の優位性が明確になると共に、欠点も見えてきた。コロキウムでは現時点での結果について紹介したい。


第145回
 『晩期型超巨星のアルカリ金属共鳴線輪郭』
    松田 健太郎(西はりま天文台)


<概要>

 なゆた望遠鏡と中分散分光器MALLSを用いて、大質量星の進化の末期段階に於ける活動等についてより詳しい情報を得るべく、HR図上で低温、高輝度の限界に近い星の観測を行っている。特に、強度が大きく、低温度星の星周領域からも輝線成分の検出例がある、ナトリウム、カリウムの共鳴線を狙い、その輪郭から星周領域に於ける質量放出の影響を調べることを目指している。
 コロキウムでは、晩期型星の星周領域にみられる共鳴輝線に関する概説と、観測結果の中からペルセウス座S星の時間変動をとり上げて紹介する。


第144回
 『ドロシー計画;世界合同SETI(地球外知的生命探査)観測』
    鳴沢 真也(西はりま天文台)


<概要>

 SETI専門家によると、早ければ20〜30年以内に地球外知的生命とのファーストコンタクトに成功する可能性がある。IAA(国際宇宙航行アカデミー)のSETIプロトコルは、地球外知的生命起源と考えられる信号を検出した場合、他の場所における独立した継続観測を行うネットワークを確立することを定めている。
 そこで発表者は来るXデーに備え、世界15各国、29関連機関による世界合同SETIを企画し、ネットワーク構築の予行演習を試みた(オズマ計画50周年を記念する意味もあった)。2010年11月の本観測を含め2011年11月までに計4回の合同観測が実現した。
 コロキウムでは、各観測所、観測周波数、日程、ターゲット、検出見積もりなどについても紹介する。解析の中間報告も行ないたい。


第143回
 『新星V1280 Scoの測光分光観測』
    内藤 博之(名古屋大)


<概要>

 V1280 Scoは2007年2月4日に中村祐二、櫻井幸夫両氏によって発見された新星である。5年間に渡って多色測光観測(大阪教育大・名大IRSF)、可視光分光観測(なゆた望遠鏡・すばる望遠鏡ほか)を継続した結果、V1280 Scoは観測史上最も進化の遅い新星であることが分かった。V1280 Scoはその進化の遅さから、恐らく新星爆発が起きるぎりぎりの質量(0.4-0.6太陽質量くらい)の白色矮星上の現象だと予想できる。
 コロキウムでは、新星についての概要とV1280 Scoの観測結果について紹介する。


第142回
 『太陽活動は低迷するのか』
    時政 典孝(西はりま天文台)


<概要>

 第23期の太陽活動が長期化し、平均11年のところが13.2年となりました。1750年代より継続観測されている黒点相対数やそれ以前の記録によれば、長期化した活動期の後の活動は低迷する場合があります。第24期の活動がどうなるのか、地球環境との関連を交えて考察します。


第141回
 『最遠の天体になゆたで迫る!』
    前野 将太(西はりま天文台)


<概要>

 観測史上最も遠い天体は一体何でしょうか。
 国立天文台のすばる望遠鏡が赤方偏移 6.9(距離約128億8千万光年)の銀河を観測、発表されたのが2006年9月です。2年半後の2009年4月23日に赤方偏移8.2(約131億光年)で起きたガンマ線バースト(GRB)がその記録を塗り替えました。しかし、わずか6日後に起きた GRB 090429B は赤方偏移 9.4 で、あっさりと記録が更新されています。2011年9月現在、観測された最も遠い天体は赤方偏移 10(宇宙誕生の4億8千万年後!)の HUDF09 という銀河です。
 GRB は非常に明るく輝く宇宙最大の爆発現象で、そう遠くない日に赤方偏移が10を越えるものが検出されると十分に考えられます。しかし、いつ、どこで起こるか分からず、時間とともに急激に暗くなる現象であるため、バースト発生時には迅速な観測が求められます。
 本コロキウムでは高赤方偏移の観測に威力を発揮する近赤外線カメラ(NIC)を使った GRB の観測となゆた望遠鏡による最遠天体の記録更新の可能性について紹介します。



臨時
 『Launch of the IAU Office of Astronomy for Development』
    Kevin Govender(IAU Office of Astronomy for Development)


<概要>

The International Astronomical Union (IAU) has set up the Office of Astronomy for Development (OAD) in partnership with the South African National Research Foundation (NRF). The OAD was officially opened on 16th April 2011 at the South African Astronomical Observatory (SAAO) in Cape Town, South Africa. The purpose of this office is to use astronomyto make the world a better place - and thus realise the vision of the IAU Strategic Plan. The missions and the projects of the IAU OAD are presented.



第140回
 『赤外線天文衛星「あかり」による
  彗星氷のCO2/H2OおよびCO/H2Oの生成率の比』
    濱田 沙希(姫路市宿泊型児童館「星の子館」)


<概要>

 彗星は太陽系の小天体の1つで、太陽系の始原天体であると考えられている。彗星核の成分でH2Oは最も多く含まれ、続いてCO2やCOが豊富に含まれている。しかし、これらの分子は地球大気に吸収されて地上からの観測は困難であり、特にCO2は事実上観測が不可能である。
 そこで、JAXAが打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」によって近赤外線低分散分光観測された彗星を解析し、コマ中のH2O、CO2、COの検出を行った。
 本研究では、H2Oに対するCO2およびCOのガス生成率の比を求め、それぞれの分子において彗星氷の成分比の推定をした。


第139回
 『系外惑星への応用にむけた地球照の偏光観測』
    高橋 隼(西はりま天文台)


<概要>

 地球照の偏光観測について発表する。系外惑星の偏光観測は、惑星の表面や大気の特性を知るための有効な手段になりうると考えられる。
 具体的には第一に、偏光度位相曲線の観測により表面が海で覆われている惑星候補を検出できる可能性がある。
 第二に、偏光分光観測により系外惑星大気中の地球と共通した成分(例えば酸素分子)を地上から検出することができる可能性がある。
 本研究では、こうした将来の系外惑星への応用が実現可能であるかを探るために、地球照の偏光観測を行なっている。観測には、主に西はりま天文台60 cm 望遠鏡および神戸大学の同時偏光撮像/分光装置を用いている。 
 講演ではこれまでに得られた結果や今後の方針について述べる。


第138回
 『X線と弱重力レンズ効果で探る銀河団』
    渡邉 瑛里(西はりま天文台)


<概要>

 小型ダークマターハローは宇宙の大規模構造や大きな銀河団を構成する基本要素であると考えられているが、規模が小さくX線や可視光で暗いため、観測的研究が進んでいない領域であった。しかし近年、弱重力レンズサーベイ技術が発達し、X線解析と組み合わせることで、より詳細に小型ダークマターハローの性質を明らかにする事が可能となった。
 本講演では、弱重力レンズ効果とX線のジョイント解析についての報告を行う。


第137回
 『NICの現状とこれまでのまとめ』
    丹羽 隆裕(西はりま天文台)


<概要>

 西はりま天文台2m望遠鏡の近赤外撮像装置(NIC)は、現在も開発が進められている、JHKバンドの三色同時撮像が可能なカメラである。今回はNICの現状を紹介し、今後の課題を議論する。また、科学運用や外部への公開に向けた試験観測に、近隣大学の学生を巻き込んだ研究を提案する。さらに、私自身の西はりま天文台全体での活動を総括し、今後の研究にも触れる予定である。


第136回
 『SPring-8/XFELの新しい光に期待する
  生物遺伝暗号謎の解明とアストロバイオロジー』
    別所 義隆(理化学研究所 SPring-8センター)


<概要>

 生物が、初期地球原始環境において、複雑有機物である原材料を組み合わせ、いかにして遺伝と代謝のしくみを獲得したか、その謎に対する答えはないが、現在生物に残されている生合成システムを分子化石と考えるならば、そのメカニズムを解明することで分子共通の性質が見出される。大型放射光施設SPring-8では、X線領域の波長を持つレーザー(XFEL)施設を開発建設中で、その位相の揃ったコヒーレントX線ビームが、結晶化していない生体高分子を直接観察可能とし、細胞内分子システムを効率良くイメージングするために利用できると期待されている。セミナーで、タンパク質合成システムの構造機能解析に関連して、X線自由電子レーザー施設(XFEL/SPring-8)の概要と、その生物利用のためのX線測定新技術開発状況を紹介する。


第135回
 『NHAOにおける鏡コーティング施設計画』
    坂元 誠(西はりま天文台)


<概要>

 西はりま天文台のなゆた望遠鏡の主鏡は日本国内最大径の鏡であり、2004年春に開梱された。
 その後、2009年初頭に三菱電機を通して鏡メーカーであるフランスREOSC社により、再コーティングがおこなわれたが、今後、持続的に再コーティングを行う上で他の手段を考える必要にせまられている。
 今回のコロキウムではNHAO内にコーティング施設を置く構想について紹介したい。


第134回
 『明石市立天文科学館の展示リニューアルと
  シゴセンジャー及びブラック星博士による教育普及活動について』
    井上 毅(明石市立天文科学館)


<概要>

 明石市立天文科学館は2010年に開館50周年を迎えました。5月には展示リニューアルをおこない、多くの来館者で賑わっています。また2005年にデビューしたシゴセンジャーとブラック星博士は登場5周年を迎えました。
 このたびのコロキウムでは展示リニューアルとシゴセンジャー、ブラック星博士の活動について紹介します。


第133回
 『挑戦!西はりま天文台でのもの作り』
    圓谷 文明(西はりま天文台)


<概要>

 西はりま天文台では、これまでも幾つかの観測装置を開発して天体観測を行ってきました。しかし、これまでは業者を頼んだ製造委託に重点が置かれた開発でした。なゆた望遠鏡の整備と一緒に、新しい天文台(南館)が建設され、同時に金属加工を行う工作室や電子機器の製作を行う実験室ができました。そして、それらの内容整備をしながら手探りでメカや電子基盤を元から設計製作する試みが始められています。
 市場には多種多様な製品があふれている中で、天文台がなぜ独自にものを造ろうとするのか。実例をあげながら西はりま天文台で始まったもの作りへの挑戦を紹介したいと思います。


第130回
 『とある布哇の偏光観測』
    松田 健太郎(西はりま天文台)


<概要>

 天文学に於ける偏光観測の実際について、ハワイ大学2.2m望遠鏡に線スペクトル偏光分光装置を取り付けて行った観測の経験を例に、そこで得られた実物のデータ、及びその整約を交えてお話する。
 また、偏光観測が発展してきた歴史的経緯や、近年の偏光観測による主な成果等についても簡単に触れたい。


第129回
 『50年目を迎えたSETI』
    鳴沢 真也(西はりま天文台)


<概要>

 今年は世界初のSETI、『オズマ計画』が行われて50周年となる。SETIの概要、実際に観測された候補信号などについて紹介する。
 発表者は4月末にヒューストンで開催された Astrobiology Science Conference に SETI Institute の招待で出席し、昨年秋に実施した多地点・多波長全国同時SETI『さざんか計画』について発表を行ってきた。その研究会で得られた世界SETIの最新情報や近未来構想についても紹介したい。


第127回
 『太陽観測衛星「ひので」の画像教育利用』
    時政 典孝(西はりま天文台)


<概要>

 太陽観測衛星「ひので」は2006年の打ち上げ後、観測を継続しています。データは2日後には公開され、0.2秒角という高分解能画像と安定した画像は、太陽活動の紹介に大変扱いやすいものです。
 私たちは、PAONETひのでデータ活用WGとして、国立天文台の共同研究に継続採択され、いくつかの教材を制作してきました。その教材について、紹介します。


第126回
 『なゆた望遠鏡を用いた彗星の撮像観測とその科学的意義』
    石黒 正晃(ソウル大学)


<概要>

 彗星のスナップショットには、多くの物理情報が刻まれています。私たちの研究グループでは、彗星を撮像することによって、彗星の起源や進化について研究してきました。
 本講演では、彗星ダストの軌道進化理論にもとづいて、画像から彗星ダストの放出履歴や放出速度を推定する方法ついて紹介させて頂きます。更に、なゆた望遠鏡を用いて実施してきた観測結果や、今後の観測計画、改善したい点について言及します。


第125回
 『X線データの解析とその活用』
    前野 将太(西はりま天文台)


<概要>

  X線天文学は光学に比べ歴史が浅いものの、これまでにいくつもの観測衛星が打ち上げられ、高エネルギーの宇宙の姿を私たちに見せてくれています。観測データはアーカイブとして手軽に手に入れることができ、また、パソコン1台で解析を始めることもできます。
 今回のコロキウムでは前回に引き続き、解析環境を整えるところから、日本が2005年に打ち上げた5番目のX線天文衛星「すざく」のデータ解析について紹介するとともに、天文の教育や普及にどのように活かせるか述べます。


第124回
 『X線データの解析とその活用』
    前野 将太(西はりま天文台)


<概要>

  X線天文学は光学に比べ歴史が浅いものの、これまでにいくつもの観測衛星が打ち上げられ、高エネルギーの宇宙の姿を私たちに見せてくれています。観測データはアーカイブとして手軽に手に入れることができ、また、パソコン1台で解析を始めることもできます。
 今回のコロキウムでは解析環境を整えるところから、日本が2005年に打ち上げた5番目のX線天文衛星「すざく」のデータ解析について紹介するとともに、天文の教育や普及にどのように活かせるか述べます。


第123回
 『生まれ変わった姫路科学館の展示』
    安田 岳志(姫路科学館)


<概要>

 姫路科学館は、初めての展示リニューアルを行いました。4階の宇宙のコーナーの展示も従来のパネル中心から、触ったり実験できるものし、太陽望遠鏡も新しい試みを取り入れた物を製作しました。企画から実際の完成物までの軌跡をご紹介します。


 『星形成領域の観測的研究:
  オリオンA分子雲コアの野辺山CS(1-0) サーベイの再検証』
    佐藤 友美(西はりま天文台)


<概要>

 最近の研究から、分子雲コアと呼ばれる高密度のガス塊から星が誕生することが分かってきており、またこの分子雲コアの性質が星の質量決定に密接に関与しているのではないかということが期待されています。しかし、理論的、観測的双方のアプローチにおいて、まだ十分な裏付けはなされていません。
 そこで、分子雲コアの質量関数と星の質量関数との関係を統計的にとらえることを目的として、太陽系から最も近い巨大分子雲で、様々な質量の分子雲を含んだ分子複合体であるオリオンAに対し、Tatematsu, et al.(1993, ApJ, 404, 643) が国立天文台野辺山観測所45m電波望遠鏡を用いて行った、CS(1-0) 高分解能サーベイのアーカイブデータを再解析しました。
 Tatematsu et al.(1993) が、分子雲コアの同定を目視によって行ったのに対し、本研究では、Clumpfind (Williams, et al.; 1994, ApJ, 428, 693) というアルゴリズムを用いて機械的に行い、解析結果を質量関数に表して比較する方法で検証を行いました。
 現在の星形成領域に対する観測や解析の方法など、本研究を踏まえて分かりやすく解説したいと思います。


第122回
 『誘発的星形成領域のミリ波サーベイ観測』
    丹羽 隆裕(西はりま天文台)


<概要>

 星は分子雲の収縮によって形成されるが、そのメカニズムは大きく2つに分けることができる。一つは分子雲の自己重力が主因となって星形成が進行する自発的星形成で、もう一つが誘発的星形成である。
 誘発的星形成は自己重力の他、大質量星からの紫外線や恒星風、若い天体からの双極分子流などが分子雲を圧縮し、星形成を促進するメカニズムである。この結果、分子雲は大質量星から近い順に圧縮されるため、誘発的星形成領域では形成された星が、大質量星側から分子雲側に向かって、年齢順に並ぶことが知られている。
 誘発的星形成は元々、大質量星の形成メカニズムであると考えられていたが、近年の研究で、太陽質量程度の星形成も行われていることが明らかになり、褐色矮星等の超低質量星の形成メカニズムとしても注目されている。また、星形成領域内に大質量星が存在すればその影響は周辺の分子雲に及ぶと考えられるため、誘発的星形成は星形成メカニズムを知る上で非常に重要な過程と言える。
 しかし、誘発的星形成領域の研究は、自発的星形成に比べて遅れており、電波・近赤外線観測は共に、高感度、広視野、高空間分解能の観測が少なく、自発的星形成と比較した場合の分子雲の形状、質量分布、密度構造の違いや、形成される星の初期質量関数など、誘発的星形成のメカニズム自体にまだ多くの謎が残されている。
 今回は、大質量星からの紫外線と恒星風による誘発的星形成領域に着目し、W5-East HII領域(距離2kpc)の周囲に付随する分子雲のミリ波によるサーベイ観測を、野辺山45m電波望遠鏡を用いて行った。観測では、W5-Eastに付随し、すでに誘発的星形成領域の候補天体として同定、カタログ化された Bright Rimmed Cloud(BRC)3天体を中心として、無バイアス、広視野での観測が可能な OTF マッピング法を用い、分子雲全体の観測を行うことで、紫外線の照射の程度(紫外線源となる大質量星と分子雲の距離、スペクトル型)による星形成メカニズムの違いを解明することを目的とした。
 また、誘発的星形成の直接の証拠となる、すでに形成された星の空間分布や年齢等を、スピッツァー宇宙望遠鏡、IRAS、2MASSなどの赤外線アーカイブデータを用いて推定した。
 その結果、W5-Eastでは、BRCを含む大質量星からの紫外線の照射を受けた分子雲は、照射を受けていない分子雲と比較して柱密度が最大で2倍大きくなることを発見し、分子雲圧縮の物理的な証拠を得た。また、W5-Eastを取り巻く分子雲は、BRCに限らず領域全体で誘発的星形成領域が起きていることも確認した。
 今回は、これまで行ってきたミリ波による電波サーベイ観測の結果を踏まえ、講演者が博士論文で展開した議論を中心として、誘発的星形成のメカニズムについて紹介する。また、西はりま天文台赤外線カメラでの観測等、今後の展望についても講演を行う予定である。


第120回
 『揺れない大地震 〜スロースリップ』
    辰巳 直人(赤磐市竜天天文台)


<概要>

 近年の地震学において、地震・地殻観測網の発達により、まったく被害を出さず地震計に揺れも記録されないにもかかわらずマグニチュード6を越す、いわゆる大地震に匹敵する、「揺れない大地震」の存在が明らかになってきた。
 地震学の基礎(マグニチュードの種類や定義等)から順次ご紹介する。
 ユレダス・緊急地震速報・新幹線の脱線対策や「ぐらっときた」時の対応等、防災関連にも触れたい。


第119回
 『特異な変光星の分光線輪郭モニタリング』
    松田 健太郎(西はりま天文台)


<概要>

 周期性が微弱で暗い変光星の分光モニター観測は、公開天文台が有する中口径望遠鏡のアドヴァンテージを活かした観測の一つと言える。晩期型超巨星の一部やかんむり座R型星はその様な変光星に属する恒星で、特に大規模な質量放出を伴う為、光度だけでなく、スペクトル線の輪郭に時間変化が生じ、そこから天体の様相に関する考察が期待される。なゆた望遠鏡とMALLSを用いて、それらの天体の継続的な分光観測を実施しているので、得られた線輪郭の変動について解説する。


第118回
 『SPTOOLによるA型短周期振動星の組成解析 〜その苦難の物語〜』
    鳴沢 真也(西はりま天文台)


<概要>

 アルゴル型連星系AS EriのA型主星は短周期振動星である。その励起メカニズム解明の手がかりを求めて、SPTOOLを用いて組成解析を継続している。データはすばるHDSによる。
 恒星の組成解析の奥義や、系外惑星が直接撮像されたフォーマルハウトの金属量についても紹介したい。
 時間があれば、SPTOOLの実演も行う。


第117回
 『南アフリカ名大理赤外線掃天望遠鏡2.5+8年』他
    佐藤 修二(名古屋大学)


<概要>

 (1) 南アフリカ望遠鏡の紹介;サイト、望遠鏡の解説と主な成果について。(2) 3波長同時撮像近赤外線カメラ(SIRIUS)の開発と成果について。(3) 可視赤外線同時撮像分光装置(TRISPEC)の開発と遍歴について。



第118回
 『SPTOOLによるA型短周期振動星の組成解析 〜その苦難の物語〜』
    鳴沢 真也(西はりま天文台)


<概要>

 アルゴル型連星系AS EriのA型主星は短周期振動星である。その励起メカニズム解明の手がかりを求めて、SPTOOLを用いて組成解析を継続している。データはすばるHDSによる。
 恒星の組成解析の奥義や、系外惑星が直接撮像されたフォーマルハウトの金属量についても紹介したい。
 時間があれば、SPTOOLの実演も行う。


第116回
 『PAONETの現状とアーカイブ活用』
    時政 典孝(西はりま天文台)


<概要>

 来年度よりPAONET事務局が国立天文台外の組織となります。それに合わせて会員の加入方法などが模索されており、組織運営が大きく変貌しようとしています。その現状説明とPAONETの存続意義の私見を述べたいと思います。また現在運用中のPaoDBの活用方法について、これまで十分な説明をしておりませんでしたので、この機会に説明しようと思います。


第115回
 『なゆたで取得したハイビジョン映像を利用した天文教育普及活動』
    前野 将太(西はりま天文台)


<概要>

 口径2mなゆた望遠鏡には高感度ハイビジョンカメラ HIVISCAS および小型ハイビジョンカメラがある。運用を開始して以来、明るい月や惑星から暗い銀河に至るまで数多くの天体を映像に収めている。
 今回のコロキウムではノイズを除去し、一段と美しくなった映像を紹介するとともに、今後、天文の教育や普及活動にどう効率よく貢献できるか検討する。


第114回
 『はりま宇宙講座のねらいと野望』
    坂元 誠(西はりま天文台)


<概要>

 星空案内人(通称:星のソムリエ)を養成する資格認定制度は、山形大学で生まれ、現在全国に展開中である。昨年度からこの制度に則った「はりま宇宙講座」が西はりま天文台公園を中心に、播磨地方の天文施設・グループが連携して実施している。その特徴と、期待できる効果、将来への展開について解説する。


第113回
 『気象台でのお仕事』
    川岸 純一郎(宮崎地方気象台)


<概要>

 気象台での仕事、特に台風接近時や地震時の対応、特殊な経験などについて話す。一般の方からのよくある質問や気象台職員として天文台へ期待することなどについても述べる。


第112回
 『太陽系外惑星の transit 検出観測と N2K Consortium』
    塚田 健(姫路市宿泊型児童館「星の子館」)


<概要>

 1995年、51 Pegassiにはじめて系外惑星が発見されて以来、2008年6月16日現在、300個を超える系外惑星が検出されている。その多くは、惑星が公転することで中心星が僅かに動くことをドップラー偏移によって捉える視線速度法(RV法)による検出であるが、1999年、HD 209458において、惑星が中心星の前を横切ることによって中心星の光度が減少するというtransitが検出され、それによる惑星発見(Transit法)や既に惑星が発見されている系においてtransitを検出しようという試みが多くなされるようになった。
 Transit法による惑星検出の利点は、RV法では決定できない惑星の質量(厳密に言えば惑星の軌道傾斜角)、惑星の半径、惑星の公転の向き、惑星の公転軸と恒星の自転軸の傾きなどを決定できることにある。また、transit inとtransit outのときの中心星のスペクトルを比べることによって、惑星大気の組成や温度を推定することもでき、HD 209458やHD 189733においては、その方法で惑星大気中に水蒸気があることが確認されている。
 我々はN2K Consortiumの一環として、すばる望遠鏡によるRV法の観測で検出された惑星を持つ恒星に対して、transit法によるフォローアップ観測を行い、国立天文台三鷹の社会教育用公開望遠鏡では、他チームとともにHD 17156のtransitを捉えることに成功した。本コロキウムでは、系外惑星研究の最新状況やN2K Consortiumについて紹介するとともに、三鷹での観測結果、および近年行われるようになったTransit Timing Variation(TTV)の検出を目指した今後の観測計画について報告する。



第110回
 『シュヴァスマン・バハマン第3彗星の分光観測
     〜内部コマにおける酸素原子禁制線の空間分布〜』
    勘田 裕一(大阪教育大学)


<概要>

 彗星核は原始太陽系星雲でできた氷微惑星の残存物とされているが、彗星核の内部構造や形成過程については、十分に理解されているとは言いがたい。特に彗星核の内部構造については、彗星核の形成過程・経年変化を知る上で重要であるが、探査機を用いても容易に調べることはできない。現在なしうる唯一の手段は、分裂を起こした彗星核について、個々の分裂片を詳細に調べることである。


第109回
 『天文学者のための自動化スクリプト入門』
    飯塚 亮(西はりま天文台)


<概要>

 天文のデータ解析においては、IRAFをはじめ、UNIX環境下で行われることが多いが、コマンドをいちいちタイプするため手間がかかることがある。特に、一次処理など毎回決まったことをするのは面倒だと感じたことはないだろうか?


第108回
 『なゆた望遠鏡でせまれる?赤色超巨星の世界』
    松田 健太郎(西はりま天文台)


<概要>

 HR図上で低温高輝度の限界近くにある星は、大規模な質量放出活動、星周エンベロープの形状、顕著な赤外超過といった特異な振舞いを見せる。これらの星はサンプルも少なく、その活動メカニズムや星の進化過程における普遍性など、わかっていないことが多い。


第107回-1
 『Ia型超新星2006Xの分光観測』
    山中 雅之(大阪教育大)


<概要>

 Ia型超新星は、銀河一つ分にも匹敵する明るさで輝く天体現象である。宇宙における距離を測る標準光源としても用いられる。しかし、その爆発のメカニズム、爆発する直前の天体など、まだ解明されていないことも多い。


第107回-2
『新星V1280 Scoの測光分光観測』
    溝口 小扶里(大阪教育大)


<概要>

 V1280 Scoは2007年2月4日に三重県の中村祐二氏、茨城県の櫻井幸夫氏によって、ほぼ同時に発見された新星である。発見された後、肉眼で見えるほどにまで増光し、世間でも話題となった。

 大阪教育大学では、極大前から多色での測光観測を行い、10ヶ月半にわたり、その光度曲線を得た。V1280 Scoは、新星の中でも珍しく、極大後の急減光、二度の再増光を示している。同時に、西はりま天文台では、発見直後から連続的な分光観測が行われ、極大前や急減光時、再増光時の貴重なスペクトルが得られた。

 コロキウムでは、最近のV1280 Scoの様子とともに、測光分光観測の結果を報告する。


第106回-1
 『西はりま太陽望遠鏡改修計画と求める活動』
    時政 典孝(西はりま天文台)


<概要>

 西はりま天文台の太陽望遠鏡は、フィルターの経年劣化による画像の劣化が見られる。また、1990年代導入のビデオカメラシステムによるシステムの運用は、科学活動にも教育活動にも活用できないものとなってきている。そこで、新システムの構築を数年前より考えてきている。


第106回-2
 『SNOW@siteの光と影』
    内藤 博之(西はりま天文台)


<概要>

 2005年より始まったSNOW@siteは4年目を迎えた。2007年には超新星の発見、HCGカタログ用データ取得の完了、他の観測施設との連携など目標としてきた成果をあげたが、一方で@site実施内容やデータ公開のあり方など改善できていない問題点も残っている。そのまとめを報告する。


第105回
 『ガンマ線バーストと私』
    前野 将太(西はりま天文台)


<概要>

 ガンマ線バーストはガンマ線を突発的に大量に放射する天体現象で、X線や可視光などの残光現象も見られる。


第104回
 『なゆた望遠鏡の鏡面再蒸着についての検討』
    坂元 誠(西はりま天文台)


<概要>

 天なゆた望遠鏡は2009年度の主鏡面再メッキの実施を目指し、検討に入ろうとしている。その検討課題に向けた基礎的情報について紹介したい。


第103回
 『マクノート彗星(C/2006 P1)のダストテイル微細構造について)』
    秋澤 宏樹(姫路市宿泊型児童館「星の子館」)


<概要>

 マクノート彗星(C/2006 P1)は、2007年1月12日の近日点通過直後、大きく発達したダストテイルを見せ、歴史に残る大彗星となった。

 尾には、3つの興味深い構造:1) 彗星核から尾に沿って流線状に延びる2本の帯「ストリーマー(Streamer)」、2) ダストテイルを横断している筋状の構造「ストリーエ(Striae)」、3) 主たるダストテイルの北側に淡い濃淡を伴い広がる構造、が見られた。

 インターネットに公開された R.H. McNaught (2007) 自身による画像で使用許諾のあるものを用い、これらの構造を解析している内容を報告する。


第102回
 『すばるHDSデータによるアルゴル系AS Eriの化学組成解析』
    鳴沢 真也(西はりま天文台)


<概要>

アルゴル型連星系AS EriとRZ Casの主星およびUXOR型星V1366 Oriは、周期約20分の非動径振動星である。この周期は、δ Sct型とroAp型の中間に位置しており、これらの振動メカニズムの解明が期待されている。RZ Casは、λ Boo型金属欠乏星であり、またV1366 Oriについても、[Fe/H]=--0.8が報告されており、AS Eriの化学組成についても興味が持たれる。

 我々は、『すばる』HDSによるデータを用いて詳しい組成解析を行ったので、その結果について報告し、振動周期、HRDでの位置、大気構造と金属欠乏との因果関係などについて議論する。


第100回
 100回記念コロキウム『電波望遠鏡遺跡の話』
    森本 雅樹(西はりま天文台)


<概要>

 第13千年紀のはじめ、直径3kmの円周上にコンクリートブロックが規則的に並んでいるのが発見されました。考古学者たちは、1万年昔の電波望遠鏡の跡、と発表しました、がいろいろなぞがあるそうです。ちょうど1万年目の皆さんの中に犯人がいるかも。


第99回
 『星震学の幕開け −太陽型星の話題を中心として−』
    神戸 栄治(国立天文台岡山天体物理観測所)


<概要>

 視線速度精密測定法などの観測技術の発展のおかげで、最近いろいろな星で非動径振動が検出できるようになってきています。そして、その観測をもとに、これまでにない精密さでの恒星内部の診断(星震学)が行われ始めています。本講演では、岡山天体物理観測所で行っている太陽型星の振動検出の試みなどを中心にして、非動径振動観測の現状を紹介したいと思います。


第98回
 『西はりま天文台彗星スペクトルセンター始動』
森 淳(西はりま天文台)


<概要>

 構想から3年。ようやくスタートした彗星スペクトルセンターの活動を報告する。特に昨年5月地球に接近しSchwassmann-Wachmann第3彗星の観測成果およびそこから得られる知見について述べる。


第97回
 『HIMITSUの秘密』
    加藤 佳枝、長島 加奈(兵庫県立大学天文部)


<概要>

 兵庫県立大学天文部が西はりま天文台60cm望遠鏡を用いて行っている天体画像取得プロジェクト、HIMITSUについて紹介する。今までに撮影できた画像の紹介と、今後の希望などについて発表を行う。


第93回
 『偏光への誘い 〜身近にあふれる偏光と天文への応用〜』
    松田 健太郎(西はりま天文台)


<概要>

 偏光は光の重要な性質の1つであるにも関わらず、ひろく親しまれている概念とは言えない。そこで、偏光に対するとっつきにくさを少しでも和らげるべく、身近な現象・存在に潜む偏光現象を紹介、解説する。
 その上で、偏光の天文観測への応用と、その具体例として線スペクトル偏光分光装置(LIPS)、LIPSを用いた赤色超巨星おおいぬ座VYの観測について紹介する。