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NIC解析マニュアル
をテンプレートにして作成
開始行:
* 概要 [#x872bfc4]
- ここでは、NIC で取得した撮像データ (偏光なし) の一次処...
- [[観測マニュアル>NIC観測マニュアル2018]] に記された手順...
- この内容は、下記の文献の一部を適宜修正・加筆の上まとめ...
-- [[Ishiguro et al. 2011>http://www.nhao.jp/research/ann...
- 加筆・修正・編集にあたっては高橋隼氏提供の資料を参考に...
- 西はりま天文台内では、制御室の gamera (192.168.42.204) ...
* 全体の流れ [#m1c8e54b]
- 撮像データの一次処理は下記の通りの流れで行う。カッコ内...
+ ダーク差し引き (*.da.fits)
+ フラット補正 (*.fl.fits)
+ バッドピクセル補正
+ ホットピクセル、ダークピクセル補正 (*.rr.fits)
+ スカイ画像作成 (*.sk.fits)
+ スカイ差し引き (*.ss.fits)
+ 縦縞パターン除去 (*.sp.fits)
+ 画像位置合わせ
+ 重ね合わせ (*.cm.fits)
+ WCS 貼り付け (*cmw.fits)
#ref(./ImageReduction_NIC.png,70%);
- 上図は各段階での画像の例。''(a)'' 生画像、 ''(b)'' 4ま...
* 1. ダーク差し引き [#g493052a]
- [[ダークフレームの取得手順>http://www.nhao.jp/~nic/nic_...
- オブジェクトフレームと積分時間を揃えたダークフレームを...
- gamera マシン (制御室) にインストールされている自動スク...
- 理想的にいうと、宇宙線の影響を受けたピクセルは除去した...
- ダークフレーム取得の際に、コールドシャッターの位置が適...
- 重ね合わせたフレームを、オブジェクトフレーム (含・フラ...
- 自動スクリプトで処理すると、*.da.fits という名前のファ...
ダーク引き後 j(date)_(frameID).(ObjectName).da.fits [...
* 2. フラット補正 [#qadef822]
- 検出器上の位置による感度のむらを補正する。
- 通常、トワイライトフラットを用いる。[[フラットフレーム...
- マスターフラットを用いる場合には、gamera の /home/nhao/...
-- 2020年2月現在、マスターフラットは2015年に取得されたも...
- フラットの作成に関しては特別なツールを作ってはいない。...
- 手順としては以下の通り。
++ カウントの差が2000以上あるフレームのペアを複数用意する。
++ それぞれのペアで (高カウントのフレーム) - (低カウント...
++ median でスケールしてレベルを合わせ、重ね合わせる。 (I...
++ 全体の平均が1になるよう、規格化する。(例: IRAF/noao.im...
- 几帳面にやりたい場合は、(3)-(6) の処理 (ホットピクセル...
- 規格化したフレームで、ダーク処理後のフレームを割り算す...
- 自動スクリプトで処理すると、*.fl.fits という名前のファ...
フラット補正後 j(date)_(frameID).(ObjectName).fl.fits ...
* 3 & 4. バッドピクセル補正、ホット/ダークピクセル補正 [#...
- バッドピクセル (決まった位置に出る) は、IRAF/proto.fixp...
-- 各バンド(検出器)のバッドピクセルは以下の通り。フォーマ...
--- J band
277 291 134 148
186 191 229 236
260 270 1017 1023
--- H band
277 291 134 148
186 191 229 236
961 962 672 673
1002 1004 652 654
1005 1006 649 651
966 967 612 619
964 966 609 614
1001 1007 646 654
13 15 242 245
--- K band
140 141 549 551
162 163 806 807
162 805
163 804
164 167 801 803
162 170 795 800
171 173 798 802
186 191 229 236
277 291 134 148
320 321 586 589
321 323 591 593
778 779 682 688
780 786 671 676
779 780 677 680
785 789 670 671
-- 上記のリストを各バンドのマスクファイルとして保存してお...
fixpix @(入力画像リスト) (マスクファイル) @(出力画像リ...
- ホット/ダークピクセルは、IRAF/noao.imred.crutil.cosmicr...
cosmicrays @obj_fl.lst @obj_cr1.lst
imarith @obj_cr1.lst * -1 @obj_cr2.lst
cosmicrays @obj_cr2.lst @obj_cr3.lst
imarith @obj_cr3 * -1 @obj_cr4.lst
obj_fl.lst: フラット処理後のファイルリスト
obj_cr?.lst: cosmicrays 処理で生成するファイルリスト
==> この例ではホット/ダークピクセル除去後のファイルは o...
-- IRAF/cosmicrays のパラメーターとしては、threshold をス...
-- L.A.Cosmic 等の別のツールを使ってもいい。
- 自動解析スクリプトを用いると、*.rr.fits という名前のフ...
除去したピクセル j(date)_(frameID).(ObjectName).rr.fits ...
* 5 & 6. スカイ差し引き [#tbf79942]
- ここでいう「スカイ」は、いわゆるスカイというよりも、ダ...
- 5. スカイ画像作成は、ディザー観測で得られた画像を重ね合...
-- 星の少ない天域であれば、オブジェクトフレームをそのまま...
-- 星の混んだ天域を観測している場合には、なるべく近傍の星...
-- 視野内には数個程度の星があっても OK。
-- 詳しいプロセスは以下の通り。(自動解析スクリプトで用い...
+++ 重ね合わせ前に、各スカイフレームを中央値 (median) で...
+++ 規格化したフレームを中央値で重ね合わせる。(例: IRAF/i...
+++ 各オブジェクトフレームのスカイレベルを見積もり、それ...
- 6. スカイ差し引きは、基本的にはスケールしたスカイ画像を...
- 自動解析スクリプトを用いると、以下の2種類のファイルが出...
合成したスカイ画像 j(ObjectName).sk.fits [例]jSN2012dn_...
スカイ引き後の画像 j(date)_(frameID).(ObjectName).ss.fi...
* 7. 縦縞パターン除去 [#d9dacf8b]
- NIC のデータには検出器由来の縦縞パターンが存在する。こ...
-- ダーク、フラットなどで取り切れない。読み出し時の電圧の...
-- 前述の「スカイ」と違い、列ごとにほぼ一定の値を示す。
-- 下記の2つの方法がある。
++ 星の少ない天域の場合 (Sampling 法)
--- 星の写っていない行 (典型的に 20-100行) を取り出して各...
--- 同様の操作を上半分、下半分に対してそれぞれ行う。
--- 上半分のプロファイルを画像の上半分から、下半分のプロ...
#ref(./NIC_colpattern.png);
--- 上図の例では、緑の横長の長方形で囲まれた場所を使う。...
++ 星の多い(混んだ)天域の場合 (Median 法)
--- 下図のような例では「星の写っていない行」がないため、...
--- 画像の上下半分でそれぞれ、各列のカウントの中央値 (med...
--- 縦縞パターンのプロファイルが得られたら、それをオブジ...
#ref(./NIC_colpattern_median.jpg,70%);
--- 上図は、左が縦縞パターン除去前、右が Median 法による...
- 自動解析スクリプトを用いると、*.sp.fits という名前のフ...
縦縞パターン除去後 j(date)_(frameID).(ObjectName).sp.f...
- この時点で WCS の貼り付けが成功したフレームに関しては、...
* 8 & 9. 位置合わせ & 重ね合わせ [#cd4f3184]
- 基準となる星の中心位置を測る。(IRAF/imexamine、SExtract...
- その基準星がディザリングセット内ですべて同一のピクセル...
-- NIC はさほど視野が広くないため、ゆがみ補正などはひとま...
-- 当然、ローテーターの位置角を一定にしておけば、回転など...
-- 大きめのブランク画像(カウントは-10000とかの現実的でな...
- 平行移動によって位置合わせが出来たら、重ね合わせる。(IR...
- 自動解析スクリプトの出力は以下の通り (J band の例)。
位置合わせ後 j(date)_(frameID).(ObjectName).sf.fits [例...
重ね合わせ後 j(ObjectName).cm.fits [例]jSN2012dn_01.cm....
* 10. WCS 貼り付け [#d9b57014]
- 視野内に写っている星を使い、2MASS 画像などを参照して座...
- IRAF でやる場合は、ccmap、ccsetwcs などを使う。
-- ccmap : 画像に写っている天体の「X Y RA Dec」の対応リス...
-- ccsetwcs : 「WCS を貼り付けたい画像」「ccmap の出力フ...
- やり方は多数ある。[[astrometry.net>http://astrometry.ne...
- 参考リンク: [[WCSTools>http://tdc-www.harvard.edu/wcsto...
- 自動解析スクリプトは WCSTools の imwcs コマンドを使い、...
gamera% ds9 &
gamera% getwcs.sh [ファイル名].cm.fits
-- gamera マシン以外では整備していないので注意。
-- 自動解析スクリプトの出力ファイルは下記の通り。(J band ...
縦縞パターン除去後+WCS j(date)_(frameID).(ObjectName).s...
重ね合わせ後+WCS j(ObjectName).cmw.fits [例] jSN2012dn_...
-- 位置較正の過程で、ピクセルスケールを計算してヘッダーに...
* 履歴 [#d5abe5f0]
- 2018.03.28 新規作成 (斎藤)
- 2018.04.01 とりあえず流れを追えるところまでの加筆・編集...
終了行:
* 概要 [#x872bfc4]
- ここでは、NIC で取得した撮像データ (偏光なし) の一次処...
- [[観測マニュアル>NIC観測マニュアル2018]] に記された手順...
- この内容は、下記の文献の一部を適宜修正・加筆の上まとめ...
-- [[Ishiguro et al. 2011>http://www.nhao.jp/research/ann...
- 加筆・修正・編集にあたっては高橋隼氏提供の資料を参考に...
- 西はりま天文台内では、制御室の gamera (192.168.42.204) ...
* 全体の流れ [#m1c8e54b]
- 撮像データの一次処理は下記の通りの流れで行う。カッコ内...
+ ダーク差し引き (*.da.fits)
+ フラット補正 (*.fl.fits)
+ バッドピクセル補正
+ ホットピクセル、ダークピクセル補正 (*.rr.fits)
+ スカイ画像作成 (*.sk.fits)
+ スカイ差し引き (*.ss.fits)
+ 縦縞パターン除去 (*.sp.fits)
+ 画像位置合わせ
+ 重ね合わせ (*.cm.fits)
+ WCS 貼り付け (*cmw.fits)
#ref(./ImageReduction_NIC.png,70%);
- 上図は各段階での画像の例。''(a)'' 生画像、 ''(b)'' 4ま...
* 1. ダーク差し引き [#g493052a]
- [[ダークフレームの取得手順>http://www.nhao.jp/~nic/nic_...
- オブジェクトフレームと積分時間を揃えたダークフレームを...
- gamera マシン (制御室) にインストールされている自動スク...
- 理想的にいうと、宇宙線の影響を受けたピクセルは除去した...
- ダークフレーム取得の際に、コールドシャッターの位置が適...
- 重ね合わせたフレームを、オブジェクトフレーム (含・フラ...
- 自動スクリプトで処理すると、*.da.fits という名前のファ...
ダーク引き後 j(date)_(frameID).(ObjectName).da.fits [...
* 2. フラット補正 [#qadef822]
- 検出器上の位置による感度のむらを補正する。
- 通常、トワイライトフラットを用いる。[[フラットフレーム...
- マスターフラットを用いる場合には、gamera の /home/nhao/...
-- 2020年2月現在、マスターフラットは2015年に取得されたも...
- フラットの作成に関しては特別なツールを作ってはいない。...
- 手順としては以下の通り。
++ カウントの差が2000以上あるフレームのペアを複数用意する。
++ それぞれのペアで (高カウントのフレーム) - (低カウント...
++ median でスケールしてレベルを合わせ、重ね合わせる。 (I...
++ 全体の平均が1になるよう、規格化する。(例: IRAF/noao.im...
- 几帳面にやりたい場合は、(3)-(6) の処理 (ホットピクセル...
- 規格化したフレームで、ダーク処理後のフレームを割り算す...
- 自動スクリプトで処理すると、*.fl.fits という名前のファ...
フラット補正後 j(date)_(frameID).(ObjectName).fl.fits ...
* 3 & 4. バッドピクセル補正、ホット/ダークピクセル補正 [#...
- バッドピクセル (決まった位置に出る) は、IRAF/proto.fixp...
-- 各バンド(検出器)のバッドピクセルは以下の通り。フォーマ...
--- J band
277 291 134 148
186 191 229 236
260 270 1017 1023
--- H band
277 291 134 148
186 191 229 236
961 962 672 673
1002 1004 652 654
1005 1006 649 651
966 967 612 619
964 966 609 614
1001 1007 646 654
13 15 242 245
--- K band
140 141 549 551
162 163 806 807
162 805
163 804
164 167 801 803
162 170 795 800
171 173 798 802
186 191 229 236
277 291 134 148
320 321 586 589
321 323 591 593
778 779 682 688
780 786 671 676
779 780 677 680
785 789 670 671
-- 上記のリストを各バンドのマスクファイルとして保存してお...
fixpix @(入力画像リスト) (マスクファイル) @(出力画像リ...
- ホット/ダークピクセルは、IRAF/noao.imred.crutil.cosmicr...
cosmicrays @obj_fl.lst @obj_cr1.lst
imarith @obj_cr1.lst * -1 @obj_cr2.lst
cosmicrays @obj_cr2.lst @obj_cr3.lst
imarith @obj_cr3 * -1 @obj_cr4.lst
obj_fl.lst: フラット処理後のファイルリスト
obj_cr?.lst: cosmicrays 処理で生成するファイルリスト
==> この例ではホット/ダークピクセル除去後のファイルは o...
-- IRAF/cosmicrays のパラメーターとしては、threshold をス...
-- L.A.Cosmic 等の別のツールを使ってもいい。
- 自動解析スクリプトを用いると、*.rr.fits という名前のフ...
除去したピクセル j(date)_(frameID).(ObjectName).rr.fits ...
* 5 & 6. スカイ差し引き [#tbf79942]
- ここでいう「スカイ」は、いわゆるスカイというよりも、ダ...
- 5. スカイ画像作成は、ディザー観測で得られた画像を重ね合...
-- 星の少ない天域であれば、オブジェクトフレームをそのまま...
-- 星の混んだ天域を観測している場合には、なるべく近傍の星...
-- 視野内には数個程度の星があっても OK。
-- 詳しいプロセスは以下の通り。(自動解析スクリプトで用い...
+++ 重ね合わせ前に、各スカイフレームを中央値 (median) で...
+++ 規格化したフレームを中央値で重ね合わせる。(例: IRAF/i...
+++ 各オブジェクトフレームのスカイレベルを見積もり、それ...
- 6. スカイ差し引きは、基本的にはスケールしたスカイ画像を...
- 自動解析スクリプトを用いると、以下の2種類のファイルが出...
合成したスカイ画像 j(ObjectName).sk.fits [例]jSN2012dn_...
スカイ引き後の画像 j(date)_(frameID).(ObjectName).ss.fi...
* 7. 縦縞パターン除去 [#d9dacf8b]
- NIC のデータには検出器由来の縦縞パターンが存在する。こ...
-- ダーク、フラットなどで取り切れない。読み出し時の電圧の...
-- 前述の「スカイ」と違い、列ごとにほぼ一定の値を示す。
-- 下記の2つの方法がある。
++ 星の少ない天域の場合 (Sampling 法)
--- 星の写っていない行 (典型的に 20-100行) を取り出して各...
--- 同様の操作を上半分、下半分に対してそれぞれ行う。
--- 上半分のプロファイルを画像の上半分から、下半分のプロ...
#ref(./NIC_colpattern.png);
--- 上図の例では、緑の横長の長方形で囲まれた場所を使う。...
++ 星の多い(混んだ)天域の場合 (Median 法)
--- 下図のような例では「星の写っていない行」がないため、...
--- 画像の上下半分でそれぞれ、各列のカウントの中央値 (med...
--- 縦縞パターンのプロファイルが得られたら、それをオブジ...
#ref(./NIC_colpattern_median.jpg,70%);
--- 上図は、左が縦縞パターン除去前、右が Median 法による...
- 自動解析スクリプトを用いると、*.sp.fits という名前のフ...
縦縞パターン除去後 j(date)_(frameID).(ObjectName).sp.f...
- この時点で WCS の貼り付けが成功したフレームに関しては、...
* 8 & 9. 位置合わせ & 重ね合わせ [#cd4f3184]
- 基準となる星の中心位置を測る。(IRAF/imexamine、SExtract...
- その基準星がディザリングセット内ですべて同一のピクセル...
-- NIC はさほど視野が広くないため、ゆがみ補正などはひとま...
-- 当然、ローテーターの位置角を一定にしておけば、回転など...
-- 大きめのブランク画像(カウントは-10000とかの現実的でな...
- 平行移動によって位置合わせが出来たら、重ね合わせる。(IR...
- 自動解析スクリプトの出力は以下の通り (J band の例)。
位置合わせ後 j(date)_(frameID).(ObjectName).sf.fits [例...
重ね合わせ後 j(ObjectName).cm.fits [例]jSN2012dn_01.cm....
* 10. WCS 貼り付け [#d9b57014]
- 視野内に写っている星を使い、2MASS 画像などを参照して座...
- IRAF でやる場合は、ccmap、ccsetwcs などを使う。
-- ccmap : 画像に写っている天体の「X Y RA Dec」の対応リス...
-- ccsetwcs : 「WCS を貼り付けたい画像」「ccmap の出力フ...
- やり方は多数ある。[[astrometry.net>http://astrometry.ne...
- 参考リンク: [[WCSTools>http://tdc-www.harvard.edu/wcsto...
- 自動解析スクリプトは WCSTools の imwcs コマンドを使い、...
gamera% ds9 &
gamera% getwcs.sh [ファイル名].cm.fits
-- gamera マシン以外では整備していないので注意。
-- 自動解析スクリプトの出力ファイルは下記の通り。(J band ...
縦縞パターン除去後+WCS j(date)_(frameID).(ObjectName).s...
重ね合わせ後+WCS j(ObjectName).cmw.fits [例] jSN2012dn_...
-- 位置較正の過程で、ピクセルスケールを計算してヘッダーに...
* 履歴 [#d5abe5f0]
- 2018.03.28 新規作成 (斎藤)
- 2018.04.01 とりあえず流れを追えるところまでの加筆・編集...
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