・明日のためにその1

 60cm望遠鏡の機械精度を見る為に、ズレの測定精度を撮像によって1桁上げるには、まだ前もってやっておくことがある。それは撮像装置を焦点にとりつけた時のピクセルサイズ(1ピクセル当たり何秒角の大きさがあるか)を決めておくことである。

−コンセプト−
既知の2重星を撮像し、その離角と画像上の距離(ピクセル)の比較により、焦点面に取り付けたカメラのピクセルサイズを求める。

 1月28日(観測:時政,圓谷)
 ディテクタは、この日に SNOW(web を使って銀河団内に超新星を見つけるプロジェクト)の観測の為に付いていたのが AstroCam なので、こいつのピクセルを手始めに測ることにした。

手順:2重星ζ-Gem(分離角101秒角)とι-Cnc(分離角29秒角)とを撮像する。

結果
 撮像した2重星像の画像上の距離を横軸,離角を縦軸にプロットしたのが下図である。原点に打った点はは、直線をフィットする時に原点を通るように拘束するために入力したダミーの測定点。

フィッティングした直線の傾き(上の表の赤字で表した数値)より、60cm 望遠鏡の焦点に取り付けた AstroCam のピクセルサイズは 0.63 arcsec/pixcel と求められる。

詳しい記録(990128_NOTE.pdf

 

 3月3日(観測:時政,圓谷)
 この日は、火星共同観測プロジェクトの都合でHPC-1が取り付けられていたので、この冷却CCDのピクセルサイズを測ることにした。HPC-1には、拡大光学系をかますことができるので、これを取り付けた場合とカセグレン直焦点とを測定した。

手順1:カセグレン直焦点で、ζ-Gem(分離角101秒角),15-Cnc(分離角27.1秒角)とを撮像する。

手順2:拡大レンズをかませて、ε-Mon(分離角13.4秒角),15-Cncとを撮像する。

結果
 撮像した2重星像の画像上の距離を横軸,離角を縦軸にプロットしたのが下図である。原点に打った点はは、直線をフィットする時に原点を通るように拘束するために入力したダミーの測定点。

カセグレン直焦点

拡大レンズ付

フィッティングした直線の傾き(上の2つの表でM1と表した数値)より、60cm 望遠鏡の焦点に取り付けた HPC-1 のピクセルサイズは

直焦点で          0.33 arcsec/pixcel
拡大レンズを付けて     0.16 arcsec/pixcel

と求められる。

詳しい記録(990303_NOTE.pdf