・ダイヤルゲージを使った「6分ジャンプ」の原因の追求

 ダイヤルゲージ(ひと目盛り1μmの精度の良いもの)を使って、赤道儀の赤経軸の駆動部の機械的な歪みをチェックして、6分ジャンプやポインティングエラーの原因を探る。


 ダイヤルゲージは、下の図のように、棒の伸縮をメーターで正確に読み取れる測定器である。伸縮する棒の部分を歪みを測りたい箇所にあて、測定の基準となる頑丈な部分に台を固定して使用する。右の写真は西はりま天文台のダイヤルゲージ(最小目盛り10μm)である。

 

3月11日(実験:坂元[みさと天文台],鳴沢、圓谷,五百蔵[大教大])

−実験1−

手順:
 赤経軸駆動系のウォームギアシャフトの西側端にダイヤルゲージ(坂元氏所有、最小目盛り1μm)を当て、ウォームギアの軸方向の変動を調査する。望遠鏡の追尾をかけた状態で、ゲージの目盛りを1時間ほどビデオに録画した。シャフトに平行な方向だけでなく、念のため垂直な方向にもゲージを当てて見た。


坂元氏所有のダイヤルゲージを赤経軸駆動系にセットしたところ


シャフトとの接触部分の拡大

結果:
 ウォームギアが正確に6分毎に約1ミクロンづつ東方向に横ズレして行くのが見られた。この移動は常に一方方向に進んでいる。


6分毎に見られたシャフトの横ズレの1イベント(QuickTime ムービー)

この周期的なシャフトの移動を許す軸受けの遊びがどの程度あるのか、望遠鏡を赤経軸方向に手で揺すってみたところ、およそ十数μm動くことがダイヤルゲージの読みから確認できた。


シャフトの横ズレを生じさせるガタ(QuickTime ムービー)

なおシャフトに垂直に当てた場合、ゲージには何の影響も見られなかった。

 

−実験2−

手順:
 ゲージを鏡筒トラスに固定し副鏡に当てた。望遠鏡を赤緯方向に振って、望遠鏡を北側に水平に倒した位置から天頂に移動するまでのゲージの目盛りを録画した。

 

結果:
 望遠鏡が水平位置の時は、副鏡部が約0.2mmほどしなだれかかっていることが判明した。低高度の天体を導入するときに見られる系統誤差の要因として疑われる。