・専用計算機の基本構成概念


 専用計算機の導入は、問題の中に、計算時間を支配する定型かつ膨大な繰り返し演算が含まれており、しかもその演算処理が並列実行できる時に意味がある。また、その演算が場の時間発展を求める差分方程式の解法と分離できることも重要である。
 実際、天文学の分野で成功を納めている重力多体問題専用計算機(GRAPE)や我々のSPH専用計算機システムにおいても、専用計算機の役割は方程式の力に関する項(右辺の項)を高速に求めることのみが目的である。方程式の解法そのものは、プログラマブルなホストコンピュータによってなされるように切り分けられている。その構成概念は下図のようになる。






 数値計算のパフォーマンスは、外部データバスにぶら下がっている専用計算機の専用プロセッサの総ロジック数(とクロック周波数)ホストコンピュータの演算性能によって決まるが、両者の性能が向上するにつれてデータバスの転送能力がボトルネックとなってくる。現在のCPU性能の急速な向上は、既にコンピュータ内部におけるデータ転送のボトルネックに到達しつつある。我々がコンピュータ内部のデータバス技術にまで踏み込んで、専用計算機システムを議論することは現実的ではない。既存のコンピュータと(できれば)既存のデータバス技術を用い、システム構成による改良で、データ転送のボトルネックを回避し専用計算機システム全体のパフォーマンスを向上させる方法を提案する。


並列型専用計算機システム

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