2016年(紀要 第4号)

論文リスト:


MALLSによるA, F, G, and K型スーパーフレア星の分光観測
 著者:本田 敏志1、野津 湧太2、野津 翔太2、柴山 拓也3、幾田 佳2、行方 宏介2、鄭 祥子2、猪口 陸子2、前原 裕之4、野上 大作2,5、柴田 一成5
 所属:1) 兵庫県立大学自然・環境科学研究所 天文科学センター 西はりま天文台   2) 京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室   3) 名古屋大学 宇宙地球環境研究所   4) 国立天文台 岡山天体物理観測所   5) 京都大学 大学院理学研究科 附属天文台
 著者の電子メイルアドレス: honda@nhao.jp
 Received: 2016 November 30

概要:我々はスーパーフレアを起こしたと思われるA-K型の星をMALLSで分光観測を行った。今回の観測ではHα線がやや浅くなっているものがいくつか確認されたが、輝線になっているようなものは見つからなかった。自転速度やリチウム組成の解析から、興味深い天体がいくつか発見されたが、スーパーフレア星の全般的な傾向としての特徴は見られなかった。

 Key words:Superflare — Spectroscopy — Lithum - Stellar flare
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青翔高校による5カ年の教育利用観測の総括
 著者:山田 隆文1
 所属:1) 奈良県立青翔中学校・高等学校  
 著者の電子メイルアドレス: taka-yamada@nps.ed.jp
 Received: 2016 November 30

概要: 青翔高等学校には、生徒が班に分かれ、自ら設定したテーマに基づいて研究を行う「スーパー探求科学」という科目がある。天文の研究を行う生徒達は、西はりま天文台等で望遠鏡を使ってデータを取得し、その解析を行っている。そして研究成果は、論文にまとめたり、学会等で発表したりしている。本論文では、過去5年間の生徒による研究事例を示し、今後の教育利用観測の展望について述べる。

 Key words:探求活動 – スーパーサイエンスハイスクール (SSH) – 教育利用観測
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可視光中低分散分光器MALLSオートガイドシステムの開発
 著者:森鼻 久美子1、 高橋 隼1、新井 彰2、本田 敏志1、伊藤 洋一1
 所属:1) 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 西はりま天文台  2) 京都産業大学 神山天文台
 著者の電子メイルアドレス: morihana@nhao.jp
 Received: 2016 December 20

概要: 兵庫県立大学西はりま天文台のなゆた望遠鏡に搭載されている可視中低分散分光器MALLS (Medium And Low-dispersion Long-slit Spectrograph) は、ガイド用カメラの画像を用いた手動ガイドにより観測を行ってきた。しかし、手動ガイドでは特に長時間積分においてガイド作業の手間がかかる。そこで、観測天体のスリットからの漏れ光を利用して、その重心位置ずれを検出してなゆた望遠鏡の追尾操作にフィードバックをかけるオートガイドシステムを開発した。

 Key words:spectrograph – auto-guide system
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兵庫県立粒子線医療センターでの天文プログラム
 著者:飯田 洋輝1、高橋 隼2、尾崎 勝彦 3、加藤 則行2
 所属:1) 兵庫県立大学 理学部   2) 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 西はりま天文台   3) マリアホスピスボランティア
 著者の電子メイルアドレス: takahashi@nhao.jp
 Received: 2016 December 20

概要: 我々は、2015年9月24日に兵庫県立粒子線医療センターにて天文プログラムを実施した。悪天候のために、室内で天体画像のスライドショーの上映や星空シミュレーションソフトを使った星空解説などを行った。センター利用者 (患者) を中心に30名の参加があった。プログラム終了後、アンケートを実施し17名から回答を得た。88%の回答者は、本プログラムは全体的に「よかった」または「どちらかといえばよかった」と答えた。宇宙の大きさを感じることへの印象についての質問では、1/3程度の回答は肯定的なものであった。一方で、1/3程度の回答は、「宇宙の大きさに気が遠くなる」といった、どちらかというと否定的なものであった。

 Key words:astronomy in hospitals - questionnaire - Center of Community
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なゆた望遠鏡の主鏡・副鏡・第三鏡再蒸着
 著者:高木 悠平1,2、 伊藤 洋一2
 所属:1) 兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター 西はりま天文台   2) 国立天文台 ハワイ観測所
 著者の電子メイルアドレス: yuhei.takagi@nao.ac.jp
 Received: 2016 December 20

概要: 兵庫県立大学西はりま天文台にある2m望遠鏡 (なゆた望遠鏡) の主鏡・副鏡・第三鏡の洗浄・再蒸着作業を行った。本再蒸着作業では反射面となるアルミの薄膜とともに、鏡面の反射率の維持と保護を目的とした保護膜 (SiOx) を蒸着した。なゆた望遠鏡の蒸着は2009年に行われたが、当時は主鏡をスペインまで輸送して行ったため、より低コストで実施する必要があった。今回は蒸着作業は国内にて実施する方法を検討した。アルミニウム膜の厚みは100nm、保護膜蒸着後の反射率のピーク波長を550nmと設定し、その仕様を満たした新しい反射膜および保護膜を各鏡の表面に形成した。各鏡を望遠鏡に戻した後にハルトマンテストを実施して光軸調整を行い、ハルトマン定数は0.34秒となった。

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