解説:アダプティブオプティクス

AOsystem

近年の応答制御技術を用いて実現されたこの装置は、現在、主に近赤外線(波長数ミクロン)での観測に応用されている。観測目標の天体(object)とほど遠くない位置にある星を参照星(reference star)として使って波面の乱れる様子を波面センサーで測定し、波面補償鏡と呼ばれる薄っぺらな鏡を変形制御することで波面の歪みを補正してしまう。
このとき参照星と観測天体との間で、大気揺らぎによる光波面の歪みが同一である必要がある。この条件を満たすには、参照星が目標天体より isoplanetic angle(波面の形が同一とみなせる角度)以上離れていてはならない。isoplanetic angle の大きさは、観測する波長が長くなるほど大きくなる。近赤外線での観測の場合、その角度は数10秒角(1秒角は1度の1/3600)になり、空のたいていの方向で参照星に都合の良い星を見つけて使うことができる。