2021年度なゆたユーザーズミーティング(2021年8月10日)
8月10日に開催予定(zoomを用いたオンライン形式)の兵庫県立大学 自然・環境科学研究所 天文科学センター(西はりま天文台)が運用する 2mなゆた望遠鏡のユーザーズミーティングのご案内です。
本ミーティングでは、なゆた望遠鏡の運用報告や科学的成果の発表と共に、
ユーザーの皆様からのご意見などをお待ちしております。なゆた望遠鏡で観測
された方の積極的な発表をお願いします。また、将来、なゆた望遠鏡を使って
観測を行いたいと考えておられる大学院生や研究者の方々、中小口径の望遠鏡を
運用している方や、運用に興味のある方など多くの方の参加をお待ちしております。
なゆたUMに続いて(8/11-12)には、せいめいUMが開催されます。連続開催と
することで国内の共同利用望遠鏡について関連研究者が集中的に考え、
相互に意見交換することのできる貴重な機会となることを期待しております。
プログラム
- なゆた望遠鏡運用報告(13:00-13:25)
- 13:00-13:10「なゆた望遠鏡の運用」伊藤洋一(兵庫県立大学)
- 13:10-13:20「なゆた望遠鏡の雷被害からの復旧と対策、望遠鏡と主鏡の状況報告」戸塚都(兵庫県立大学)
- 13:20-13:25 ショートトーク(ポスター)
- P「なゆた望遠鏡の新しいドームフラットシステム」高山正輝(兵庫県立大学)
- P「NICによる測光精度向上の試み」斎藤 智樹(兵庫県立大学)
- P「WFGS2偏光モードの開発」川上 碧(兵庫県立大学)
- P「なゆた望遠鏡可視光分光装置に搭載する新CCDカメラの開発」村瀬 洸太郎(兵庫県立大学)
- 科学成果(13:25-15:35)
- 13:25-13:40「偏光度で探る小惑星リュウグウの表層状態」黒田大介(京都大学)
- 13:40-13:55「夜空のフラウンホーファー吸収線強度に基づく黄道光絶対輝度の推定」高橋葵(アストロバイオロジーセンター)
- 13:55-14:10「太陽系外惑星の近赤外トランジット観測」平野佑弥(兵庫県立大学西はりま天文台)
- 14:10-14:25「太陽型星スーパーフレアの連続分光観測~彩層放射・質量噴出の調査~」行方宏介(国立天文台)
- 14:25-14:40「休憩」
- 14:40-14:55「なゆた望遠鏡MALLSによるγCas型天体HD45314の分光観測」森鼻久美子(名古屋大学)
- 14:55-15:10「狭帯域フィルターを用いた金属欠乏星探査観測および分光追観測」冨永望(国立天文台)
- 15:10-15:25「近赤外線観測による遠方クェーサーの変光調査」関根章太(早稲田大学)
- 15:25-15:35 ショートトーク(ポスター)
- P「伴星質量の異なるOB型星の近接連星探査」須田拓馬(東京工科大学)
- P「Near Infra-Red Polarimetry of Large Asteroids using NIC」Yoonsoo P. Bach(Seoul National University)
- P「多波長トランジット測光観測から探る系外惑星大気」大朝由美子(埼玉大学)
- P「不規則に変光するYSO候補天体の分光観測」八木 恵(兵庫県立大学)
- 中小口径望遠鏡の利活用(15:40-17:00)
- 15:40-15:55「ぐんま天文台150cm望遠鏡22年目の現状」橋本 修(ぐんま天文台)
- 15:55-16:10「岡山188cm望遠鏡と岡山理科大学の望遠鏡の活用」福田 尚也(岡山理科大学)
- 16:10-16:25「大阪教育大学のこれまでと現状」松本桂(大阪教育大学)
- 16:25-16:40「天文班の活動報告(仮)」松本 誠司(兵庫県立西脇高等学校 地学部 天文班)
- 16:40-16:55「高校生実習における脈動変光星の観測」大島誠人(兵庫県立大学西はりま天文台)
- 16:55-17:00 ショートトーク(ポスター)
- P「明星大学天文台活動報告」小野寺幸子(明星大学)
- P「天文データアーカイブシステム SMOKA の現状報告」格和純(国立天文台)
- 将来計画と議論(17:00-17:30)
- 17:00-17:15「高速位相変調を用いた偏光観測装置の開発」高橋 隼(兵庫県立大学)
- 現状の問題点や今後求められることなど
- ポスターセッション(17:30-18:00)
- ポスターごとにブレイクアウトルームを準備します
- センター長への直談判
- ポスター発表のファイル形式は自由です、アクセスできるようにリンクを準備します
- ポスター発表のファイルは公開する予定です
アブストラクト
「 なゆた望遠鏡の運用」伊藤洋一(兵庫県立大学)西はりま天文台の「なゆた望遠鏡」について、運用状況などを報告します。現状に対する要望や実現してほしい機能・運用形態について、皆様からの御意見を頂きたく思います。
「なゆた望遠鏡の雷被害からの復旧と対策、望遠鏡と主鏡の状況報告」戸塚都(兵庫県立大学)
なゆた望遠鏡は、2020年7月に落雷被害を受け約2ヶ月運用ができなくなった。雷被害の詳細と復旧の様子、現在行われている雷対策を紹介する。また、望遠鏡や検出器の運用状況や主鏡の現状等も報告する。
P「なゆた望遠鏡の新しいドームフラットシステム」高山正輝(兵庫県立大学)
なゆた望遠鏡の従来のドームフラットシステムでは、ドームの一箇所からフラットスクリーンを照らす方式を採用していた。これに代わり、2021年1月にフラットランプシステムを刷新した。新しいシステムは広島大・かなた望遠鏡のフラットランプシステムと同じものを採用し、4つのハロゲンランプをなゆた望遠鏡のトップリングに配置する方式を採用した。この新しいシステムでの試験結果と今後の運用について報告する。
P「NICによる測光精度向上の試み」斎藤 智樹(兵庫県立大学)
NIC による測光観測には、フラットの非一様性による不定性が存在する。また、検出器固有のパターン除去などに細かな改善の余地がある。これらを改善するため、新たな解析手法を開発・実装した実験用パイプラインを開発している。フラットデータの改善およびパターン除去スキームの改良の結果、視野内での感度の一様性を優位に改善することができた。さらに、星団のデータを用いて、視野内での非一様性を補正する (ubercalibration) 実験を継続中である。その手法と現状の問題点・改善点を紹介する。
P「WFGS2偏光モードの開発」川上 碧(兵庫県立大学)
広視野グリズム分光撮像装置 WFGS2 の偏光撮像モードを開発した。4 方向の偏光成分の明るさを得るために、半波長板を回転させるユニットを組み立て、装置に取り付けた。その後、無偏光標準星・強偏光標準星を観測し、偏光撮像モードの性能を評価した。
P「なゆた望遠鏡可視光分光装置に搭載する新CCDカメラの開発」村瀬 洸太郎(兵庫県立大学)
「ぐんま天文台150cm望遠鏡22年目の現状」橋本 修(ぐんま天文台)
ぐんま天文台の150cm望遠鏡は1999年の運用開始から22年目が経過している。現在も運用を継続しているが、性能や機能に完全ではない部分が少からず発生している。老朽化による劣化や不具合の一部が完全に解決されないままとなっているためである。制御の要となる計算機などでは、古い機種の機能を代替する機器や部品を確保できずに補修が困難となるような場合も少くない。これまでの経緯と現状を具体的に報告する。
「岡山188cm望遠鏡と岡山理科大学の望遠鏡の活用」福田 尚也(岡山理科大学)
岡山理科大学は瀬戸内海の地域にある望遠鏡にアクセスしやすい場所にある。2012年に生物地球学部が設置され、天文学コースが設けられた。2018年12月から始まったユーザ主体での国立天文台188cm望遠鏡の観測成果等について報告を行う。
「大阪教育大学のこれまでと現状」松本桂(大阪教育大学)
国内の小口径望遠鏡サイトの一例として、主に情報共有を目的に、大阪教育大学のこれまで(なゆた望遠鏡との連携実績は多くはありませんが)および現状の運用などについて報告します。
「天文班の活動報告(仮)」松本 誠司(兵庫県立西脇高等学校 地学部 天文班)
2020年に復活した地学部天文班の活動報告です。西脇高校には天体ドームがあり、兵庫県立高校でも現役で機能している数少ない大型望遠鏡があります。また、20年以上前から本校には天体観測を行う地学部があったのですが、10年ほど前に部員がいなくなり消滅していました。そのような中、昨年度に入学し、休校を明けた後のその年の9月頃に入部した高校生が、天文班と望遠鏡を復活させ、活動を始めました。活動を始めてやっと1年ほどですが、これまでの活動と、今後の活動予定について、発表させていただきます。
「高校生実習における脈動変光星の観測」大島誠人(兵庫県立大学西はりま天文台)
発表者は、ここ数年にわたって西はりま天文台60cm望遠鏡を用いて高校生の実習として短周期の脈動変光星測光観測を行ってきた。当発表では、これまでに行ってきた手法の紹介と教育的な留意点、および今後なゆた望遠鏡での分光観測を取り入れての展望について発表する。
P「明星大学天文台活動報告」小野寺幸子(明星大学)
明星大学(東京都日野市)のキャンパス内にあるドーム付き天文台には、40 cmリッチー・クレチアン式反射望遠鏡と15 cm屈折望遠鏡が設置されており、講義や卒業研究、地域への公開など、教育目的で多く利用されている。同じ場所で常時観測を行っている流星電波観測装置とあわせ、その活動状況について報告する。
P「天文データアーカイブシステム SMOKA の現状報告」格和純(国立天文台)
SMOKA は国立天文台天文データセンターが提供する天文データアーカイブシステムです.現在,次の望遠鏡の公開データを提供しています: すばる望遠鏡,岡山天体物理観測所 188cm 望遠鏡,東京大学木曽観測所 105cm シュミット望遠鏡,東工大 MITSuME 望遠鏡群,東広島天文台かなた望遠鏡,京都大学せいめい望遠鏡,および西はりま天文台なゆた望遠鏡.本講演では SMOKA の開発状況,利用状況などの現状について報告いたします.
「偏光度で探る小惑星リュウグウの表層状態」黒田大介(京都大学)
2020年9月から12月にかけて、西はりま天文台を含む国内外4箇所において行った小惑星リュウグウの偏光観測の結果を報告する。位相角28度から104度の広い範囲の直線偏光度が得られ、その値は知られた太陽系天体の中で最も高い53%を示した。この値を隕石の測定結果と比べると、リュウグウ表層はサブミリメートルの粒子が支配的であることを示唆する。本研究では、特になゆた望遠鏡と可視光分光撮像装置WFGS2の偏光モードの解析について詳しく述べる。
「夜空のフラウンホーファー吸収線強度に基づく黄道光絶対輝度の推定」高橋葵(アストロバイオロジーセンター)
太陽系内に浮遊する惑星間塵が太陽光を散乱した光は、可視域で空全体に広がった拡散光源として観測され、黄道光と呼ばれる。地上から観測される夜空の明るさには、この黄道光や地球大気放射に加えて、銀河系内の星および塵に由来する拡散光、さらには銀河系外から届く背景放射が含まれる。様々な天域で黄道光の絶対輝度を高精度に測定することは、惑星間塵の3次元空間分布を明らかにし惑星間塵の供給源について示唆を与えるだけでなく、より微弱な銀河系外背景放射を高い確度で検出するためにも極めて重要である。ここで夜空の明るさを構成する複数の放射の中から黄道光を切り分けるためには、主に黄道光にのみ見られるフラウンホーファー吸収線を夜空のスペクトル中に検出し、その吸収強度から黄道光連続スペクトルの絶対輝度を求める必要がある。そこで我々は、2020年1月になゆた望遠鏡と可視分光器MALLSを用いて夜空の分光観測を行い、フラウンホーファー吸収線の検出を試みた。当観測では薄雲の影響や直前の観測プログラムに由来する検出器残光の影響等により有意な検出には至らなかったが、本発表では今後の観測に向けた改善点や展望を述べる。
「太陽系外惑星の近赤外トランジット観測」平野佑弥(兵庫県立大学西はりま天文台)
なゆた望遠鏡NICによる太陽系外惑星の近赤外トランジット観測の結果を紹介し、惑星の大気組成について議論する。
「太陽型星スーパーフレアの連続分光観測~彩層放射・質量噴出の調査~」行方宏介(国立天文台)
近年、恒星のスーパーフレア(最大級の太陽フレアの10倍以上の規模)への関心が高まっている。恒星の磁気活動性は周りに存在する系外惑星の環境を決める上でも重要な役割を果たし、また、フレアに伴う質量噴出は恒星の質量・角運動量進化にとって重要となるからである。特に太陽型星(G型主系列星)のスーパーフレアの観測は、若い太陽/現在の太陽周りの環境が主星に磁気活動性によってどのように進化するかを知る手がかりになるため、太陽・地球惑星分野からも注目されている。ところが、これまでの太陽型星のスーパーフレアの研究は、主に測光観測・X線観測によって行われてきており、可視光分光観測例は一例もなく、彩層放射・質量噴出現象に関しては全くの未知であった。そんな中、せいめい望遠鏡/なゆた望遠鏡の同時観測(OISTER枠/PI:行方)により、我々は太陽型星EK Draで発生したスーパーフレアを2件検出し、そのうち一つでは、噴出現象の決定的な証拠である「青方偏移する吸収成分」を世界で初めて検出した。他方、2件目の巨大フレアは、エネルギーこそ大きいものの、質量噴出現象が発生している証拠は見つからなかった。その質量噴出の統計的性質と発生確率を知るため、なゆた望遠鏡2021Aの観測(共同利用/PI:行方)で我々は、活発なフレア活動を示す太陽型星V889 Herの2星を更に計5日間連続分光観測することを提案していた。結果として、今期の観測ではスーパーフレアを検出することができなかったが、日毎にactivityレベルが変化している様子が見られた。世界的に見ても、現状太陽型星のスーパーフレアの可視光分光データは我々のサンプルのみであり、今後同様の観測を継続し、新たな太陽型星でのスーパーフレア及び質量噴出現象を検出することの意義は依然として大きい。本発表では、これまでなゆた望遠鏡で検出したフレア・質量噴出現象を中心に、これまでのプロジェクトの進捗を報告する。
「なゆた望遠鏡MALLSによるγCas型天体HD45314の分光観測」森鼻久美子(名古屋大学)
カシオペア座γ星に代表される γCas 型天体は、可視で水素のバルマー系列からの輝線放射を示す Be型星である一方、X線では通常のBe型星より約1桁明るい光度を持ち、B型星からは通常観測されない中性鉄輝線を示す特異な天体である。X線放射源として、(1) 磁場を持つ単独 Be 型星表面の磁場活動と (2) 白色矮星とBe型星の連星系で白色矮星の磁極でのX線再放射の2説があるが、未だ解明されていない。これは、可視分光で分かる星周円盤構造に基づき (1)説の議論が行われている一方で、(2)説に対しては多温度プラズマ放射モデルでのX線スペクトルフィッティングで、現象論的な議論のみが行われてきたことによる。近年、我々は白色矮星の降着柱物理を考慮した新たな白色矮星連星系放射モデルをγCasに適用し、伴星質量の導出を可能にした (Tsujimoto et al., 2018)。導出した伴星質量と可視分光から求まる伴星質量の比較から、γCas型天体のX線放射源を明らかにできる。可視での視線速度による伴星質量の導出には軌道周期を求め、周期に基づく観測立案後視線速度精密測定が不可欠であるが、γCas 以外のγCas 型天体の軌道周期は不明である。そこで、γCas型天体HD45314のHeI(4388, 4686, 4713Å)及びHeII (4686Å)の吸収線の分光モニター観測をなゆた望遠鏡MALLS中分散モードで2019年9月から2020年3月まで行なった。HD45314は、X線で最も高温、軌道周期数ヶ月と予測されており (Boyajian et al., 2007)、過去に連星系であることが示唆されているため (Mason et al., 1998)、γCas型天体の起源探査に適している。約半年にわたって行なった分光モニター観測の結果を報告する。
「狭帯域フィルターを用いた金属欠乏星探査観測および分光追観測」冨永望(国立天文台)
金属欠乏星とは、太陽と比べ水素、ヘリウム以外の元素を指す金属が少ない恒星である。金属欠乏星は宇宙空間にまだ金属が少なかった時代に誕生し、当時の元素組成を現在に伝えており、宇宙初期の化学進化を明らかにする手段として有用である。これまで金属欠乏星探査として、スリットレス分光、ファイバー分光を用いた探査観測が行われてきたが、近年注目を集めている金属欠乏星の探査方法として狭帯域フィルターを用いた探査観測がある。南天のSkymapperは狭帯域フィルター観測によって、これまでで最も鉄の組成の少ない星を発見している。そこで、私たちは、木曽シュミット望遠鏡 Tomo-e Gozen Camera による狭帯域フィルターを用いた明るい金属欠乏星探査を計画し、パイロット観測を行っている。機械学習を用いて選出した候補星について MALLS を用いた分光追観測を行っている。本講演では、過去2年間のパイロット観測の結果を報告し、今後の展望を紹介する。
「近赤外線観測による遠方クェーサーの変光調査」関根章太(早稲田大学)
一般に、近傍のクェーサーは変光することが知られている。遠方でも同様に変光が起きるかを調査した。ターゲットはPSO183+05(赤方偏移z=6.44)、PSO338+29(赤方偏移z=6.66)、ULAS J1120+0641(赤方偏移z=7.09)、ULAS J1342+0928(赤方偏移z=7.54)である。さらにディザリング手法を変えて撮像した場合の、測光誤差への影響を調べた。
P「伴星質量の異なるOB型星の近接連星探査」須田拓馬(東京工科大学)
小質量星を伴星とする大質量連星は天文学において重要な意味を持つ。一つは、種族III大質量星と低質量星との連星、もう一つは重力波起源天体である。前者は現在の宇宙で観測するのは困難であるが、太陽近傍の連星を調査することにより、宇宙初期の星形成に何らかの制限を与えることが期待できる。後者については伴星がコンパクト天体であることを示すことができれば、重力波起源天体の可能性が出てくる。本観測探査では数日から一週間程度の周期を持つ連星探査を行っており、その進捗状況について報告する。
P「Near Infra-Red Polarimetry of Large Asteroids using NIC」Yoonsoo P. Bach(Seoul National University)
Yoonsoo P. Bach, Masateru Ishiguro, Jun Takahashi Since 2019, we have observed two largest asteroids in the solar system, (4) Vesta and (1) Ceres, using Nishi-Harima Infrared Camera (NIC) at Nishi-Harima Astronomical Observatory. The polarization degree as a function of phase angle (the Sun-target-observer's angle), so-called the polarimetric phase curves (PPC) of an asteroid, has provided priceless information on asteroids' albedos since the 1900s[1]. However, there was no report on the PPC of an asteroid in near infrared, although there are many in visible wavelengths. We focused on large asteroids, that are thought to possess fine (<~ 10 µm size) particles due to the large gravity[2-3], i.e., the size parameter (X = π*particle-size/wavelength) approaches order of unity at near infrared wavelengths. On the other hand, the experimental studies suggest the PPC may change abruptly when the size parameter gets smaller to the order of unity[4]. Since NIC allows simultaneous polarimetric measurements in J, H, and Ks bands, the change of PPC is obtained for three different size parameters. We will introduce our observation, reduction process, results and give an interpretation of the regolith on Vesta. [1] Lyot, B. (1929), "RESEARCH ON THE POLARIZATION OF LIGHT FROM PLANETS AND FROM SOME TERRESTRIAL SUBSTANCES", originally "Recherches sur la polarisation de la lumière des planètes et de quelques substances terrestres" in Annales de l'Observatoire de Paris, Section de Meudon, Vol. VIII, No. 1. English translation in NASA Technical Translation (TT) F-187 (1964). [2] Le Berte T. & Zellner B. (1980), Icar., 43, 172. [3] Hiroi, T., Pieters, C. M., Takeda, H. (1994), Metic., 29, 394. [4] Geake J. E. & Geake M. (1990), MNRAS, 245, 46.
P「多波長トランジット測光観測から探る系外惑星大気」大朝由美子(埼玉大学)
多様な環境の系外惑星について、主星の金属量や温度などの物理量による惑星大気構造の差異について調べることを目的として、多波長(g~K バンド)トランジット測光観測を行なった。本研究では、埼玉大学55cm望遠鏡SaCRA/三波長同時偏光撮像装置MuSaSHIと、36cm望遠鏡/可視冷却撮像装置を用いて、2018/02~2020/12までに計23天体(29晩)の可視測光観測を行ない、そのうち5天体について、西はりま天文台なゆた2m望遠鏡/近赤外撮像装置NICを用いて2020/05~12に近赤外測光観測を行なった。結果、求められた減光率と大気モデルのフィッティングにより、惑星大気中にNaやK, H2Oなどが存在することが推定された。さらに、系外惑星大気の雲やCH4, H2Oの有無と主星の金属量や惑星密度による差異がある可能性が示唆された。
P「不規則に変光するYSO候補天体の分光観測」八木 恵(兵庫県立大学)
従来、Young Stellar Object(YSO)の探査は主にHα輝線や赤外超過を確認するという方法で行われてきた。しかし、YSOがもつ不規則変光も重要な特徴の1つである。そこで本研究では、赤外超過と不規則な変光が見られる天体をYSO候補とし、西はりま天文台の2mなゆた望遠鏡に搭載された可視光中低分散分光器MALLSで分光観測を行った。観測を行った31天体のうち10天体からHα輝線を確認した。本発表では、これらの天体の質量や年齢、誕生した推定位置について議論する。
「高速位相変調を用いた偏光観測装置の開発」高橋 隼(兵庫県立大学)
西はりま天文台では、高速位相変調を用いた偏光観測装置を開発している。装置のコンセプトや開発状況を紹介する。