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基本マニュアル

Last-modified: 2018-03-12 (月) 20:02:25 (2237d)
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NIC観測者向けのマニュアルです。

超簡易マニュアル

  1. 望遠鏡を目標へ向ける
  2. 160.128.0.40にユーザ名 nicop でログインする
  3. ds9 &
  4. Lo 3 5 とすると画像が表示される (5秒露出)

画像は /data/110730/ などその日の日付のディレクトリに保存されている。 ひとまずこれだけ。

撮像/測光観測(偏光でない)のやり方

NIC観測装置の状態の確認

  • 普段は NIC制御PC, VMEラック(BIT3 + COGITO3)、アナログ回路箱の 電源が入った状態になっているはず。入っていなければ電源を入れる。
  • モータードライバ回路箱の電源コンセントは入っていると思われる。
  • 真空計と温度測定用の箱は電源を切っておいてよい。

なゆた望遠鏡を立ち上げる。

  • 統合制御システム(UCC)から、普段の観測や観望会と同じように操作し、 望遠鏡を何か星に向けてトラッキングをかける。
  • 以下、詳細
    • 統合制御システム(UCC)を立ち上げる。
    • [プロジェクト]=>[プロジェクト開始] で観測者等を選択
    • [近赤外線観測] 押す
    • 近赤外線観測モード画面で[観測補助]=>[観測開始]
      • AGCC 関係でエラーが出て来るが [クリア]=>[再開]=>[実行]
    • エンクロージャ[同期]=>[実行]
    • [オートガイダプローブ]=>[レファレンスプロシージャ実行] (2015年5月現在、オートガイダープローブは無効かされている)
      • "X axis 1st Limit +" などとアラームが出るが [OK]。
      • 結構時間がかかる(5-10分くらい?)。この間に次のステップを進めておく。
      • 完了したら、X-「指令位置」に 100 (mm)を入力して[実行]。プローブを光路から退避させる。

NIC制御PCにログインする。

  • ユーザ端末obs1からNIC制御PC 160.128.0.40 にログインする。
       ssh -X nicop@nicpc  (専用ユーザ端末: obs1)
       ssh -X nicop@160.128.0.40  (それ以外の端末)
  • 端末を一つぐらい立ち上げておくと便利。
       xterm &
       gnome-terminal &

    お好きなのを。

  • もしもVMEラックの電源を入れた直後の場合は
       cg3_init

    とコマンドを入力する。

画像表示用にds9を立ち上げる。

   ds9 -好みのオプション &

検出器の撮像テストをしてみる。

   TL 3 2

しばらくすると J, H, K の画像が表示される。 アナログ回路箱の電源を入れた直後は画像が普段と違うかもしれない。 TL 3 2 を 2, 3回やってみる。

シャッターを開ける

2017年4月現在、シャッターの故障中につき、以下のshutterコマンドは実行しないでください

   shutter open
  • 画像のカウントがゼロ付近ならシャッターが閉まっている。
  • 何かおかしいときは
       shutter -init
    として、位置を初期化してから、開いてみる。
  • 以前はノイズ混入防止のためモーター動作後にコンセントを抜いていたが、2012/03以降抜かなくてもよくなった。

念のため、半波長板を退避させる

   pol out

望遠鏡を目標の星に向ける。

なゆたの制御システム(UCC)から向けてもいいし、NIC制御PCからリモートコマンドで操作してもいい。 ただし、NIC側からの天体指向で何度かUCCが落ちたことがある(原因不明)ので、当面はUCCでの操作をおすすめする。

NIC側からやる場合は、あらかじめ観測目標の座標リストを作っておく。 1行につき object名、分点、RAの時、分、秒、Decの時、分、秒 を空白区切りで並べる。 そうしておいて

   point2 my_objlist NGC2770

などとすると望遠鏡がそこへ向くはず。

望遠鏡の視野回転を設定する。

  • 指向完了したら、UCC で[視野回転]=>[AZ/EL同期]=>[実行]
  • 「指令位置角」に 0 (deg) を入力=>[実行]。これで、画面の上が常に北になる。
  • %%別の天体に望遠鏡を向けるときは、いったん[非同期]にして、 導入が終わってからもういちど同期し直す。%%
    • ローテータの角度は +/-270 deg が限界。振り切れないように注意。
    • 方向が大きく違う天体を向けるときには、[非同期]にし「指令角度」を0 degに戻してから、 同期し直すのが無難。
  • 「実位置角」「指令位置角」が、天球上の方向のこと。
  • 「インストメンタルローテータ/カセグレン焦点」枠内の「実角度」「指令角度」は器械的な角度のこと。

星が導入できたか TL コマンドで確かめる。

使い方は

   TL mode exptime

で、チェック用には mode は 3 でいい。

   TL 3 10 (これは10秒露出)

フォーカスを合わせる。

  • calfocus.shコマンドで、室内温度からフォーカス位置を推定する。ただし、あまり厳密ではない。
       $calfocus.sh  dome_temp(摂氏)
       (例)
       $calfocus.sh 12.3 
       => Estimated focus: -5.3887
  • 推定した位置に副鏡を動かす 統合制御システムからやってもいいし、 NIC側から
       focus -5.39
    などとやって動かしてもいい。
  • autofocus コマンドで、副鏡を何点かずらして撮像し、最もよい副鏡位置を調べられる。
    • 天体をds9に表示させた状態で、以下のコマンドを実行。FWHMを測る星をds9上でクリックする。
       autofocus exp_time band focus_start focus_end [num_sample]
       (例)autofocus 3 j -5.5 -5.4 5
    • この例では、ファーカス-5.5 から -5.4 までを 5段階で変えて、3秒露出テスト撮像し、jバンドのベストフォーカスを求め、その位置に副鏡を移動させる。
    • 詳しくはこちら

天体の結像位置を微調整する(必要があれば)。

4象限の境界には段差が生じることがあるので避けた方がよい。

以前は、ディザリング観測(DL)をするときは、「オフセット」数値入力が上書きされてしまったが、 2012年11月よりもとのオフセット値が反映されるようになった。

  • 向き、スケール
    • 視野回転を上記のように設定していれば画面上が北、左が東。
    • 星を右に動かしたければ、alphaをプラス(東)方向に、上に動かしたければ、delta をマイナス(南)方向に。
    • 視野は2.7分角、1pixは0.16秒角。
  • ハンドセットの使い方
    • UCC: [ハンドセット]=>[有効]=>[実行]
    • 制御室内のハンドセットボックスで[ENABLE]。「MODE」は[alpha/delta]。
    • 「CONTROL BUTTON」で調整

実際に撮像データを取る。

Lo コマンドか DL コマンドを使う。

Lo の使い方

   Lo mode exptime(秒) [object_name [num]]

object_name は FITS ヘッダの OBJECT キーの値になる。 省略すると OBJECT='TEST'。 num は画像を取る回数を指定する。省略すると 1。

  Lo 3 30 NGC2770 10

は mode 3 で30秒積分の画像を10回取る。 (J, H, K それぞれ10枚、合計30枚のFITSファイルができる)

DL の使い方

DL はディザリング用のコマンド。

  DL mode exptime [object_name [dith_num [dith_radius]]]

dith_num は視野をずらしながら何回撮像するかを指定する。省略すると 10。 dith_radius はずらす半径を角度秒で指定する。省略すると 10arcsec。

  DL 3 30 NGC2770 10

は mode 3 で30秒積分の画像を、視野を半径10秒角でずらしながら10回取る。 ずらし方は、中心1回、円状に9回。 終わったあと、視野は元の位置に戻る。

既存のRa,Decオフセット量が保存されるように改良した(2012年11月)。 なので、視野調整にoffset(Ra, Dec)コマンドが使える。 終わった後、オフセット量は最初の値(既存値)に戻る。

解析スクリプト nicred.sh を使う予定で、スカイ領域を別に撮る場合は、天体名を"天体名_sky" (例: NGC2770_sky) とする。

mode について

モードは TL, Lo, DL に共通で、画像データの取り方を決めるパラメータ。 以下にモード 3(4), 43(44), 83(84) について説明するが、要するに、 mode 83 は時間がかかるが mode 3 に比べてノイズが小さい、ということ。

  • 概要
    	mode  3: JHK 同じ露出時間
    	mode  4: JHK 違う露出時間
    	mode 43: 同じ露出時間、ファウラーサンプリング、4回平均
    	mode 44: 違う露出時間、4回平均
    	mode 83: 同じ露出時間、8回平均
    	mode 84: 違う露出時間(ただし、JHK 3つとも違う露出時間にはできない)、8回平均。
  • 露出時間の制限
    • 最短露出時間
      	mode  3,  4:  2秒
      	mode 43, 44:  8秒
      	mode 83, 84: 16秒
  • mode 4 の場合は、ある2つの積分時間の差が2秒以上でないといけない。
  • mode 44 を使う場合、ある2つの露出時間の差は8秒以上でないといけない。
  • mode 84 を使う場合、2つの露出時間の差は16秒以上でないといけない。
  • どのモードでも、最長露出時間が 257秒になっている。
  • カウント(正確には、(画像のカウント)x(露出時間+2秒)/(露出時間))が8000を超えるとリニアリティが悪くなる。
    Ishiguro et al.(2011) 参照。
  • mode 3, 4
  • mode 3: J, H, K 3バンド同時に同じ積分時間(露出時間)で取る。
  • mode 4: 3バンドの積分時間を個別に指定する。積分時間の指定は J, H, K の順にカンマ','で区切って並べる。
      DL 4 60,40,20 NGC2770 5 (J=60, H=40, K=20秒で5ディザリング)

mode 3, 4 ともに最短積分時間は2秒。 mode 4 の場合は、ある2つの積分時間の差が2秒以上でないといけない。 mode 3, 4 は CDS (Correlated Double Sampling) を行う。

mode 3 では

  reset, x, read1, exposure, read2

という流れでデータを取り、結果は (read2 - read1) である(反対かも)。 reset は検出器のリセット(フレームリセット)、x は検出器を空読みすることを表す。 積分時間は read1 の開始時点から read2 の開始時点まで。

mode 4 では例えば

  reset, x, read1_jhk, exp1, read_k, exp2, read_h, exp3, read_j

といった流れとなる。この場合、Hバンドのデータは (read_h - read1_jhk) で、 積分時間は read1_jhk の開始時点から read_h の開始時点までになる。

  • mode 43, 44
  • mode 43: JHK同じ積分時間で Fowler Sampling を行い4回平均する。
  • mode 44: mode 43 と同じ方式で積分時間をJHK個別に指定する。

これらのモードでは最短積分時間は8秒、さらに mode 44 では ある2つの積分時間の差が8秒以上でないといけない。 mode 43 では

  reset, x, r1, r2, r3, r4, exp, r5, r6, r7, r8

という流れで8回の検出器読み出しを行い、得られる結果は ( (r5+r6+r7+r8) - (r1+r2+r3+r4) ) / 4 になる。 積分時間は r1 の開始時点から r5 の開始時点まで。

  • mode 83 (84)

mode 83: JHK同じ積分時間、Fowler Sampling、8回平均。

mode 84: 積分時間を個別指定する。ただし3つすべて違う時間にはできない。

Lo 84 120,90,60 NGC2770 4 はダメ、 Lo 84 120,120,60 NGC2770 4 はOK。 これらのモードでは最短積分時間16秒。mode 84 では2つの積分時間の差が 16秒以上ないといけない。 mode 83 では

  reset, x, x, 1, 2, 3, ..., 8, exp, 9, 10, 11, ..., 16

という流れでデータを取る。

外部スカイフレームを撮る場合

  • 星が密集している領域ではセルフスカイフレームがうまく作れない場合がある。そのようなときは、対象天体にできるだけ近く、かつ星が少ない空域で、スカイフレームを撮る。
  • nicred.sh で自動的に外部スカイを適用させるには、オブジェクト名を"対象天体名_sky"とする。
     (対象天体) DL 83 30 XYZ 10 10
     (スカイ) DL 83 30 XYZ_sky 10 10

フラットフレームを撮る

ダークフレームを撮る

2017年4月現在、シャッターの故障により ダーク画像は撮れない(DARK/dark/Darkというオブジェクト名の画像を撮らないでください。自動処理の都合)

shutter close

でシャッターを閉じ、Lo コマンドを使って取ればよい。 自動処理スクリプト(nicred.sh)を使う場合は、天体名を"DARK"とする。

 Lo 3 20 DARK 15

観測の終わり方

シャッターは close 、半波長板は退避

2017年4月現在、シャッターの故障中につき、以下のshutterコマンドは実行しないでください

 shutter close
 pol out

NIC PC からログアウト

ds9, xterm (kterm) を閉じて、

 logout

望遠鏡をかたづける

帰る前に...

staff/なゆた観測終了時にチェックするべきこと 参照

その他

画像データの保存場所

取った画像データは、NIC制御PCの /data/110730/rawdata/ などのディレクトリの 下に、順番に番号をつけて保存される。(TL コマンドで取ったデータは保存されない) ファイル名は例えば k110730_0035.fits などになる。 日付のディレクトリは画像を取ると勝手に作られる。夜中12時を過ぎても、翌朝 8時になるまでは前日の日付のディレクトリが使われる。夜中の3時ごろから 観測を始めても前日の日付になるので注意。

注意点

  • 撮像を途中で止めたいとき
       DL 84 60,60,30 NGC2770 10 10
    などとやったが、何かの理由で途中で止めたくなった場合、別の端末から
       xstop
    と入力すると、運が良ければコマンドが停止するかもしれない。 ただし現在進行中の積分はそれが終わるまで止まらない。 どうしても積分をすぐに止めたい場合は
       cogito3_reset
    としてみるとか?
  • UCCが落ちている場合のエラー表示

なゆた望遠鏡統合制御システム(UCC)をシャットダウンしたあとにダークフレームを取ったりしていると ERRORの表示が出る。これは望遠鏡と通信ができなくなったためで、FITSヘッダ の情報が欠けるかもしれないが、画像データ自体は保存されるはず。 どうしてもうっとうしい場合は

   telescop status

とするとエラー表示は出なくなるはず。後で

   telescop control

としておかないと次の観測で望遠鏡と通信しなくなるので注意。 dark というコマンドを作って(実は今も暫定版があるが)その中に 入れておくという手もある。

変更履歴

  • 20110730 禅野: 新規作成(nic_observe.txt)
  • 20120502 高橋: なゆた立ち上げ(詳細)を追加
  • 20120516 高橋: wiki化
  • 20120517 高橋: 露出時間制限の変更を反映
  • 20120628 高橋: 「観測の終わり方」を追加
  • 20120704 高橋: ネットワーク構成の変更に伴い、ログイン方法を変更
  • 20130316 高橋: マシン名を用いたログイン方法を追加