Canopus
2016→2017冬 カノープス
− NISHI HARIMA ASTRONOMICAL OBSERVATORY −
2016→2017冬 カノープス
全天に21個存在する1等星の中でシリウスに次いで2番目に明るい輝星です。りゅうこつ座のα星でもあります。日本から見た最大の高度(地平面からの高さ)は、東京で2°、鹿児島で6°と低く、
沖縄でも10°しかありません。カノープスは、明るさが-0.7等級で白く輝く恒星です。しかしながら日本からは高度が低いため、夕焼け・朝焼けと同じしくみで赤く見え、明るさも約2等級と暗くなります。
古代中国でも、めったに見ることができない赤く輝く星なので、縁起の良いものと考えられました。後に長寿の神様、南極老人とみなされ南極老人星と呼ばれました。
カノープスを一目見ることが叶えば、長寿が約束されるとの伝説があります。
西はりま天文台から見たカノープス
かなり低い空にあると分かります。
・見る場所
カノープスの高度は低いので、周りに高い建物や山がない開けた場所、または見通しの良い山の上が良いです。
・見る時間
最大の高度(南中高度)になる時間がおすすめ。西はりま天文台では、12月下旬で夜0時ころ、1月中旬で23時ころ、2月中旬で21時ころ、3月中旬で19時ころにカノープスは南中します。
・探し方
おおいぬ座を使って探します。おおいぬ座は、1等星で一番明るいシリウスを目印に、星座の線を結びやすい星座です。詳しくは、下の写真を参照してください。
カノープスの探し方
(左)西はりま天文台から見たカノープスとおおいぬ座。(右)左の写真でおおいぬ座を線で結んだ。赤い矢印線の通りにおおいぬの足先の星をたどって探す。
西はりま天文台の敷地内では、天文台前広場から観望できます。カノープスが最も高く空へと昇る南中時刻に南の低空を探してください。
探し方は、上で書いた通り、おおいぬ座の足先の星を結んでできる直線を南の低空まで伸ばしてみてください。
カノープスの南中高度は、南に見える赤い光で光る鉄塔の高さよりもほんの少しだけしか高くありません。カノープスを見るためには、低空まで晴れている必要があります。下の写真を参考にしてください。
カノープスのビューポイント@西はりま天文台
(左)天文台前広場から見たカノープスとおおいぬ座。(右)天文台前広場の場所
厳密には、夜空で明るさが1等級の恒星を意味します。または、太陽を除く全天で明るさが1.5等級よりも明るい21個の恒星を示すこともあります。ここでの意味は、後者になります。
人の目で見ることができる恒星は、一番暗い星で6等星になります。全天で6等星より明るい星すべてを見ることができたとした場合、私たちの目には約8000個もの星が見えることになります。
1等星と呼べる星は、そのうちのたった21個しかありません。1等星はとても貴重な星であると考えることもできます。
地上から太陽を見た時、空の高い位置と低い位置では、太陽光が地球の大気(空気)の中を通る長さは変わります。空の低い位置にある太陽を見たとき、高い位置にあるときよりも太陽光は長く大気の中を通り、
私たちに届きます。
太陽光は、たくさんの色の光が溶け込んでいるため、白っぽく見えます。太陽光が大気の中を通るとき、青っぽい光(波長が短い光)は空気の粒によくはじかれます(大気散乱)。
太陽光が大気中をより長い距離通過すると、青っぽい光はほとんど散乱されてしまい、赤っぽい光が私たちに届きます。したがって、夕焼けや朝焼けの太陽は、赤くて暗く見えることになります。
夜空に輝く星も同じしくみにより、低空にあるほど、本来の色や明るさから見て、赤っぽく、そして暗く見えることになります。
夕焼け・朝焼けのしくみ
空高い位置(真上)と低い位置(真横)の太陽を比べると、太陽が低い空に見えるとき、太陽光はより長く大気中を通って私たちに届く。
大気中を長く通ってきた太陽光は、多くの青っぽい光が散乱されるので、赤くなります。