研究室に入るまでに勉強しておくといいこと

偉そうなタイトルだけど、ほとんど「理学部の授業の紹介」まる!!

兵庫県立大学理学部物質科学科は、他大学の物理学科や地球惑星科学科と比べると
 ・実験が多い。二年生の頃は週3回ほどある。そして必修。
 ・固体物理、物性の分野寄りの授業が多い
 ・研究室では、惑星だけではなく”恒星や若い天体(前主系列星)”についても研究できる
ことが特徴です。

これから天文学を学びたい人にとっては「物質科学科とい名前だけど、星や宇宙についての授業を受けられるのかな?」という不安もあると思います。実際は天文学に関連する授業はいくつかあります。理学部ですし、物理学の基礎は一通り学べます。

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この研究室では、
 ・基本的な物理や数学の知識
 ・天文学の授業で習うこと
 ・プログラミングを少々
 ・英語も少々
…が身についていたら、なんとかなります。

学部1〜3年生の間は自分の興味の向くまま、気楽に勉強しておきましょう!(^^)! 今年度の学部用シラバス(授業の詳細)はコチラ




*天文学に関連した授業

宇宙科学 西はりま天文台 副センター長の石田さんによる、一年生向けの授業です。私たちが暮らす宇宙には、どんな天体があるのか? 波長が変わると、見えるものはどう違うのか? 簡単な計算を少し交えながら基本的なことを学びます。実際に星空観望する回もあるそうです。
地球惑星科学 2018年度まで、グループに分かれて宇宙や天体、地震について調べ、発表する授業でした。2019年度から先生が変わりました。
現代物理化学 一般教養。学生間からエンジェル・仏と呼ばれる下條先生から、論理的な文章の書き方を学ぶ。「星占いの科学」という回がある。詳しくは、下條先生が出版された本「物理学者が解き明かす思考の整理法」へ!!
現代物理学の招待 一般教養。テスト範囲が「一家に一枚宇宙図」という、天文好きにはたまらない授業。恒星天文学や相対性理論に関連した授業でしたが、今はないかもしれません。
理科指導法 教職科目です。数回だけ天文台で授業があるらしい。
天文学 二年次開講。西はりま天文台 センター長の伊藤さんの授業です!先生のおもしろいお話(ご冗談)を聞きながら、基本的な知識、計算方法を学びます。この授業で習ったことは忘れないようにしましょう。答えられないと「授業で習っただろー」と先生がすねちゃう。講義室で「夕焼けの仕組み」や「黒い炎(吸収線ができる仕組み)」の実験を行う回もあります。
天体観測 三年次開講。実際に、西はりま天文台の2mなゆた望遠鏡&60cm望遠鏡を用いて観測します! 対象は小惑星、系外惑星など。二泊三日で解析、議論、発表まで体験できる、内容が濃い実習です。


0.一般教養

  単位数や、教員免許を取りたい人は教職関連科目にも気を付けながら、自由に好きなものを履修しましょう(^^)
  第二外国語も好きなものを選びましょう。理学部だと中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語があります。(※リンク先では、かなり下の方に書いてあります。)


1.数学&物理数学

  伊藤先生からの伝言です。「簡単な問題を解くようにしましょう。そのほうが実力が付きます。(^^) 難しい数学の雑誌は読まなくていいです。
一年生はクラスごとに微分積分学、線形代数、数学演習という授業を受けます。この授業の内容は、二年生から始まる物理の授業でも使います。微分積分学では、偏微分、重積分という新しい計算方法を習います。線形代数では行列について習います。忘れてしまったときに備えて、教科書は買っておきましょう…。高校生は姫路工学キャンパスの生協2階に行くと、大学1年生で使う教科書や参考書が手に入るかもしれません。
二年生からは物理数学が始まります。統計力学や量子力学の授業のほか、研究でも使うことがあるので、履修しておいたほうが無難です。
三年生からはより専門性の高い授業を受けられますが、これは興味があれば履修してみてください(´・ω・`)ノ


2.物理

  またまた伊藤先生からの伝言です。「高校の教科書をしっかりと読んでください。数学と同様、物理も簡単な計算ができれば十分です。(^^)」とのことです。
  教科書を広げない授業もありますが、大学の物理の教科書もぜひ持っておきましょう。研究でもたまに使うことがあります。
  (物理化学、物理数学については別の項目で触れます。)
力学 重要な科目です。最も天文学と密接に関係している物理学かも?!最低限、これだけでも理解しましょう(笑)
熱力学 県立大では「物理化学(二・三年次開講)」に含まれます。
統計力学 二年次開講。熱力学の続き。物理数学で習う、統計の基礎知識を使う。三年次では「確率統計」という授業もある。
波動論 光には粒子性と波動性(波としての性質)があります。この研究室ではどの研究テーマでも天体の光を扱うことになるので、光物性の基礎について知っておいたほうがいいかも。
電磁気学 二年次開講。一年生の微分積分学(数学)で習ったことをフル活用しないと問題が解けない。
量子力学 難しめな物理学。箱の中に粒子を閉じ込めることが、やけに好きな学問。量子力学Tの先生によると「きっと過去問が出回っていると思うので、その問題が解けるほどの実力を身につけて期末テストに挑んでください。」だそうです。
分光学 戦隊モノが大好きで、自分の身長を時間で積分しちゃう、見た目は真面目・中身はお茶目な先生(専門はX線)が授業をしてくださります。
相対論 あのアインシュタイン先生が考えた、特殊相対性理論が学べる授業です。兵庫県立大学理学部が誇る、Spring-8での実験についても学べちゃう。三年次開講。


3.物理化学&無機化学&量子化学

  どのような物理的過程を経て、原子や分子から光が出てくるのか?などを学ぶ授業です。天体を扱う「天文学」では、観測結果から、天体ではどんなことが起こっているのかな?ということを推測することがあります。
  研究生活では、他分野の知識が思いかけず役に立つことがあります。自分がおもしろそうと思う科目は、無理のない範囲で履修してみましょう(´・ω・`*)ノ


4.有機化学&生物学

  兵庫県立大学理学部は以下の科目が一年次の必修科目となっています。(※ただし、何個か単位落としても進級できる。)
  星雲には、多様性にあふれる有機分子が含まれています。実際に、他大学には宇宙に存在するアミノ酸について研究されている方もいらっしゃいます(温度が低い領域・天体を見る、電波観測が多い)。せっかくなので、今 有機化学が得意な子も、そうでない子も、このことを気に留めて授業を受けてみてはいかがでしょうか。。。
 ・有機化学T  … 一年次開講。必修。
 ・細胞生物学T … 一年次開講。たとえ物質科学科であっても必修。
 ・生物化学T  … 一年次開講。たとえ物質科学科であっても必修。


5.情報系&プログラミング

情報処理基礎(一年次開講)ではEメールの出し方や、Microsoft社のWord,Excel,Powerpointなどの使い方を学びます。授業はクラスごとに分かれます。文書作成や計算、スライド発表と毎回課題が出ますが、友達と協力すればなんとかなります。
情報科学T(二年次開講)では、この研究室の学生が毎日のように使うLinux言語を習います。理学部キャンパスの情報処理室のパソコンには、Windowsではなく”Linux”というOSが搭載されています。ということで、情報処理室でいつでも遊べ……練習できますね(#^^#)
二年次の物質科学基礎実験と、三年次開講の計算機プログラミングでは、C言語というプログラミング言語を学びます。特に計算機プログラミングでは、C言語を用いて積分を近似的に計算する、いろんな方法を習得できます。おススメです(´・ω・`*)ノ
三年次開講のコンピューターリテラシーでは、Mathematica(計算してくれるソフト)とLaTeX(論文がキレイに書けるソフト♪)の使い方を教えてくれるそうです!これは両方とも便利!やったね!!


6.英語

  ほとんどの論文は英語で書かれています。また出版されている本も、専門性が高くなるほど日本語に訳されているものは少ないです… 研究室に入る前から英語の文章を読むことには慣れているといいでしょう。

一年生の頃は授業数が多いですが、二年生以降は激減します。高校時代は頑張ったのに、気がついたら英語能力が下がっていた…という目に合わないように、気を付けましょう。:( ´∀` ):プルプル


*実験について(必修)

  理学部物質科学科では、一年次に生物学実験 → 二年生の前期に物理学実験と化学実験 → 二年生の後期に物質科学基礎実験と生命科学基礎実験 → 三年次に物質科学実験 を行います。実験は週に1〜3回あり、これらは全て必修です。実験自体は楽しいけれど、数週間に一度やってくるレポート提出が大変です(汗) 後輩のみなさんは頑張ってください(@^^)/~~~
  以下は実験の例です。
  ・重力加速度の測定 (物理学実験)
  ・C言語でのプログラミング  (物質科学基礎実験)
  ・原子分光学実験  (物質科学実験)
  ・分子分光学実験  (物質科学実験)
  ・機械工作実習   (物質科学実験)


入試対策

兵庫県立大学 理学部 物質科学科 入試対策

推薦入試 (公募推薦) 小論文と面接が課されます。どちらも、主に科学に関連したことを聞かれます。当時は問題を選択できました(※今もそうかもしれません)。過去問は載せられませんが、ある学生が受験生の頃、過去問を見て作った予想問題を書いておきます。
     
  • ・ドップラー効果について、実例も挙げて知っていることを400字以内で述べよ。
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  • ・光の波長を求める実験の仕組みを、次の科学者名と用語を使って400字以内で説明しなさい。[ヤング、スリット、回折]
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  • ・2014年のノーベル物理学賞は日本人3人に与えられました。その受賞の内容に関してどのようなことを知っているか。どういう点が優れていると思うか。自分の感想を含め400字以内で記述しなさい。
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  • ・他、聞かれそうと思ったこと: 二乗平均速度、ボルツマン定数、誘導電流 など
一般入試 (中期) かつて旧帝大、上位国公立大学を目指した強者ばかりが集まります。とりあえず赤本を解いてください。

兵庫県立大学 大学院 理学研究科 (博士前期課程) 入試対策

2020年度 大学院理学研究科 物質科学専攻 入学試験の概要はコチラ!! → [理学部の公式ホームページ]
推薦入試 小論文(外部からの受験者のみ)と面接を課されます。面接は内部進学の学生は5分間、外部からの学生は15-30分間です。TOEICの点数も聞かれますが、600点あれば大丈夫です。
一般入試 過去問はこちらです。数学、物理学、化学の中から3問選択するスタイルです。県立大理学部の物理学は物性に特化したことが特徴です。天文学に関連した問題はおそらく出題されません。アウェイではありますが、とにかく得意な問題を解いて合格の可能性を上げてください。数学2問と物理1問でも大丈夫です。なお、県立大理学部は外部の大学院を目指す学生が多いため、例年倍率は高くないです。リラックスして臨んでください。